分担
「あの火山か……」
その夜、アバスさんを抜きで寝室でみんなで話していた。
少し躊躇しちゃうんだよね。
あまりいい思い出ないし。というかそれ以前に。
「あそこまで今から歩いて行って、遺跡を探索して石の場所を探して、それで間にあう? リラル族の計画の日までにクレルラルまで帰るの」
「……難しいと思うね」
アルノが言った。
「……」
じゃあ、仕方ない。順番を変えよう。
「じゃあさ、先にクレルラルに帰って、その日まで潜伏してようよ。ノアちゃんは嫌がるかもしれないけど、さ。その後でも石は間に合うと思うし」
「ダメ」
そう否定したのはノアちゃん……、ではなくなんとアルノだった。
「え? だって……」
「前にあの火山に行った時作業用ロボット……、ALE-Aが多く稼働していた。あの時はそれどころじゃなくて気が付かなかったけど、後々おかしいと思ってたんだよ。普段に比べて多く稼働しすぎてた」
「つまり……」
「たぶん、大体の目星はついてるんじゃないかな。決め手に欠けてるだけで。でも見つかるのも時間の問題かも」
それはヤバいか……。
「だから、石の方を優先しよう」
「でもさ……、そのこんな事私が言うのも変なんだけどね。確かに石の方優先ではあるんだけど、やっぱりリラル族の革命を止めるのも大事だと思うんだよ」
もしあの革命の裏に本当に正義の弾丸軍の息がかかっているなら、あいつらはこの国で力をドンドン増すことになる。
いや、それどころか乗っ取ってしまう事すらできてしまうかもしれない。
そう考えると、その革命も止めておきたいし……。
「じゃあ、白にそう連絡しておけばいい?」
「え?」
そのことを説明したらノアちゃんがそんな事を言った。
「あ、そっか! それなら私たちは石探しに集中できるね」
クレルラルの方は白に任せちゃおうか。
「じゃあ、あとは石の方だけど……。できるだけ早く火山にまで行きたいよね」
何か交通機関があればいいんだけど。
「それに関しては当てがあるから、明日朝、ご飯を食べたらすぐに出発しよう」
「わかった」
とそんな感じでまとまったのだった。
*
「リラル族が反乱?」
「革命だとさ」
ノアからの報告を愛歌に伝える。
「それは正義の弾丸軍が意図的に起こそうとしてるんじゃないか、ってあの三人は考えてるらしい」
「ありえない話じゃない、か。もしかしたら、ザルザドン計画ってそれの事なんじゃないかしら?」
ふむ。その可能性は高いな。
革命を起こさせてどうするかがわからないから困るんだけど。
「もう一度潜入してみるしかなさそうね」
「だな。だが、今じゃない」
「え?」
「そう、リラル族が革命を起こす日の直前がいいな。あいつらも油断するだろ」
「敵の作戦を知るのがギリギリってのは怖いけど、まあ確かにいいかもね」
ノアの報告を受け俺たちも俺たちでそう方針を決めた。




