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アバスと契約の石

「この人がアバス。前に言ったよね。数年前までクレルラル王国に仕えていた賢人だよ」


 その後、私が寝かされていた地下の部屋から一階にあがり、お茶を貰いながら話を聞いた。


「この方が……」


 アバス。

 アルノの乳母だった人で100年前、勇者のパーティだった人、らしい。


「ボクたちが森に墜落したのがここから1kmほど離れた地点だったみたいでね。それに気づいたアバス婆様が魔法でここまで運んできてくれたってんだ」

「そっか。改めてありがとうございます」

「いいんだよぉ。久しぶりにアルノちゃんにもあえてあたしもハッピーさ」


 ホント、いい人だなぁ。


「そういえばフェイサートは?」

「ん? ここについてすぐ、『お前らと関わると碌な目に遭わん』とか言ってどっか行っちゃったよ。もう私たちを狙う気はないみたい」


 へえ。人を振り回すだけ振り回しといて……。

 まあ手を引いてくれたのならありがたいけどね。


「で、それから約丸一日かな」

「私またそんなに寝ちゃってたんだ……」

「それはしかたない」


 ノアちゃんが言う。


「え?」

「修行の成果もあってか、夜空の絶対的な魔力量と気力量は日を増すごとに増えてる」


 えーっとつまり?


「その急激な成長に身体の成長の方がが追い付いていない。故に枷に吸い取られたエネルギーの回復のために時間がかかっている」

「なるほど」


 必要な電力のわりに充電効率が悪い的な感じかな。

 それよりも。


「ノアちゃんが私の事褒めてくれるなんて珍しいねぇ」

「っ。そうじゃない。私は事実を言っただけ」

「えー本当に?」

「本当。っていうか、身体の方をもっと鍛えて……」

「もう照れちゃって!」

「そういうんじゃない……」


 ふふん。

 ノアちゃんも最近は私に対しても心を開いてきてくれてる気がして嬉しいね。


「それよりも」


 と思っていたらノアちゃんがまたいつもの声色に戻った。


「あなたが起きるまで待ってた、石の在りかを聞くのを」


 あ、そうなんだ。まだ聞いてないんだね。


「石? 何のことだい?」

「契約の石です。勇者がこの世界に残していったっていう」

「ああ、ルキの石だね」

「ルキ?」

「ルキフィス。彼の名さ」


 勇者の名前ってルキフィスっていうんだ。

 そういえば名前訊いたことなかったような気がする。

 この世界で勇者っていうとその人しか差さなかったから、勇者で済んじゃうんだよね。


「それでこの大陸の石を隠したのがアバスさん、あなたなんじゃないかということで、その場所を伺いたいとおもっていたんです」


 なんだかんだここで会えたのはラッキーだった。


「場所はわかるが、なぜそんなに知りたいんだい?」

「えっと」


 私たちは事情を説明した。


「なるほど、それの破壊を狙う組織が……」

「はい。多分見つけるのもそう遠い未来じゃないと思うんです」

「だからボクたちが先に見つけて、安全な場所に保管しておきたいんだ」

「そういうことかい。事情はわかった。あんたたちにだけ、場所を教えよう」


 そう言ってくれた。


「あれはね。タイトムの火山の中の遺跡にあるよ」

「へ?」


 私たち、またあそこに行かなきゃいけないの……?

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