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空の上で

「あー、えっと、クレイ族、リラル族がともに世界観を共有するこの大地の神話。その中に出てくる巨神だったかと」


 同じ話を共有してんの? 変なの。


「それがどうかしたのか?」

「この前城の地下に潜入した時、ザルザドン計画っていう資料を見たのよね。多分あのとき見た作られているものと何か関係があるんだと思うんだけど」

「やっぱり、何か兵器を作っているとみるべきか。中は読まなかったのか?」

「あなたが騒ぎを起こしてくれちゃったおかげで、読めなかったのよ」

「あーわるかった……」


 しばらくは、それをどうにか調査したいとこだな。


「ノアちゃんとは連絡取れないの? あっちの方も心配なんだけど」


 少し時間が経ってから、2人になったとき愛歌が言ってきた。


「愛歌だって俺の能力を経由して連絡取ろうと思えばやれるんだろ?」

「まあね。でもその場合の回線は少し弱いから」


 そうか……。


「昼前には連絡が付いた。俺の処刑が執行されたと思った2人をなだめたって聞いたとこから、連絡が取れない」

「そう……」


 何かあったんだろうな。

 無事だといいんだけど。


  *


「あはは。ごめん……、逃げ足には自信あったんだけど、まさか捕まっちゃうとはね」

「いや、もうしょうがないよ。私たちもあいつの戦い方は予測不可能な事だらけで」


 私たちはフェイサートに捕まり、彼の船で護送されていた。

 今はその船の中の監獄だ。


「そんなこと言い訳にならない。戦闘力は大したことないのに、私を無力化した……。白に顔向けできない」


 屈辱的だ、といった表情だ。

 あの爆発の後、すぐにフェイサートが攻撃してきた。

 えーっと私とアルノは手榴弾でひるんだすきに枷を嵌められ無力化。

 ノアちゃんは交戦したんだけど、フェイサートは戦わず、街中で大立ち回りを演じたのち、なんか罠に引っ掛けてこう捕まってしまった。


「次は絶対に首を落とす」


 そんな物騒なことを呟いてすぐ船が大きく揺れた。


「そいつは怖いな」


 そんな事を言いながらフェイサートが扉を開けた。


「い、今のはなに?!」

「攻撃だ」

「はあ?」

「この船は今襲撃を受けているといったのだ」

「誰に?!」

「ライバルの賞金稼ぎやら有象無象だ。だが数が多い。そこで」


 フェイサートがリモコンを見せる。


「このスイッチを押せば一時的に死神の枷の効果を消せる。おっと、変な気は起こすなよ」


 話の途中で飛びかかろうとしたノアちゃんに忠告した。


「このまま無力なまま墜落すればお前らは死ぬことになるだろう。まだ命は惜しいだろ? 一時的に力を戻してやるから、奴らを退けるのを手つだえ」

「で? 手伝ったら解放してくれるの?」

「そんなわけがないだろう。命が助かるだけありがたいと思え」


 その瞬間、また船が大きく揺れた。


「ふむ。もうそろそろ自動操縦では限界か。どうするんだ? 手伝うのか手伝わないのか」

「あーもうしかたない! 何をすればいいわけ?」


 こうなったらもうなるようになってやる。


「1人は副操縦士が欲しい。残りの二人は、砲撃部に行って追いかけてくる敵を全員粉みじんにしてやれ」

「操縦の補佐はボクができる」

「じゃあ、私たち二人は、敵の撃墜だね」

「力が戻ったらその瞬間、あいつの頭を斬り落とせる」

「運転する人がいなくなってこっちまでお陀仏だよ?!」

「わかったしかたない」

「大丈夫なんだろうな……」


 私たちは力を解放され、それぞれの役割の場所に向かった。

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