作戦会議(3) & 処刑
「わかった。王にはなるよ……。はぁ……、血の運命には逆らえないのか……」
とアルノがため息を吐いた。
「で? その前の契約の石はどうする?」
「そこなんだよね」
このまま、闇雲に探してたってみつかりゃしないよ。
「アルノ、前にこの大陸内で石を隠した人を知ってるって言ってたよね?」
「うん」
「私はその人を探すのが一番早いと思う。だからその人について教えて」
「……わかった。彼女は……」
アバス。
アルノの乳母だった人で100年前、勇者のパーティだった人でもあるらしい。
小さい頃からアルノの面倒を見てくれていた人だったらしいが、ある日を境に城から姿を消したのだとか。
「今思えば、ボクがこの国を離れることになった事件が起こったのと同時期だったから……、もしかしたら正義の弾丸軍と繋がった人に石の在り方を聞かれるようになって……、命も危うくなったのかも」
なるほど……。
「じゃあ、その人を探そう。何か手掛かりはない?」
「うーん、いくつかいるかもって候補はあるんだけど」
「じゃあ、そこに行こうよ」
「わかった。まずは近い場所から……」
そして私たちは明日午前をこの町で準備の時間にし、その後アバスさんを探すことになった。
*
―――その数時間前―――
クレルラル城は首都クラウノから大河を長い橋で渡った先にある。
その橋を俺は歩かされていた。
「いい天気だなぁ……。こんな日だったら別に死んでもいいかもな」
死神の枷を嵌められ、俺は絞首台を目指し歩かされる。
「俺の事、正義の弾丸軍に渡すんじゃなかったのか?」
俺を囲う兵士の一人に話しかける。
「……」
「あっそ、だんまりってわけ。死ぬ直前まで誰とも話しできないってのは悲しいね」
黙々と歩かされ数分後、俺は絞首台に立ち首にロープを巻かれていた。
俺はどうやら公開処刑されるらしく、眼科には多くの人が俺の事を見ている。
「あーあ、中世の海賊になった気分だな」
彼らもこんな気分だったんだろうか。
「にしても、こんなに科学が進んでる国でも処刑方法は縛り首なのか」
ま、公開処刑には持って来いの方法なのかもな。
血が苦手な人も楽しめるし。
その後、なんか偉そうな人が色々と説明? をしたあと、俺に向き直る。
「最後に何か言い残したことはあるか?」
「うーん。まあ悪くない人生だったかな。これでいい? それとも辞世の句でも読もうか?」
それだけ言ったが、無視された。
そしていよいよ、その時が近づいてきた。
(どうやらここが俺の人生の終着点らしいよ、ユィリス。なんかパッとしないけど、うん。ま、お似合いの末路なんじゃないかな)
死ぬと思った時に脳裏に浮かんだ人物に話しかける。
(約束を果たせなかったことが心残りだけど……、というか心残りは多すぎるけど。まあ、超人にしてはまだ人道的な終わりを迎えられてんじゃないかな、とも思うし。そっちは楽しくやってくれてたら俺はそれでいい)
そして俺はその時を迎える。




