第2話:砂漠に咲く薔薇が見たくて(9)
国のお偉いさんに催促され、研究所を後にした。
「白ってロリコン?」
「は? なんだよ急に」
「いや、星ちゃんにすごく優しかったから」
「子どもは好きだけど、そういう目じゃ見てないよ」
本当かなぁ、怪しい……。
「ノアちゃん馬鹿にされた時、こっちが引く勢いでキレてたけど?」
変な気起こさないように見張っておかないと……。
「あのゴミがあれで死ぬとは思ってなかったから」
「いやいや、普通死ぬでしょ」
「普通の人間ならな? でもあいつらは疑似超人だ」
「そもそも疑似超人がなんなのか、私はよく知らないんだけど」
あーそうだったけ、と白が言う。
「一言でいうとな。魔界にいる死神って種族が人を改造して作る人間兵器だ。高い戦闘力を与えられる代わりに、生涯を兵器として死神に使役されることになる」
勝手に改造された方はたまったもんじゃないな。
「ノアちゃんもそうなんだよね?」
白に前聞いた話。
うちのパーティのノアちゃんも元々、その疑似超人というのだったらしい。
「ああ。いろいろあって、ノアを作った死神を殺したことがあってさ。今は俺んとこにいるってわけ」
「なるほどね」
「で、だ。疑似超人って俺ら超人を模してるってだけあって、かなり戦闘力が高いはずなんだ。あの程度で死ぬとは思ってなかったんだよ」
「でもすっごい勢いだったよ?」
「ほら、比較対象がノアだったもんだから、あの程度なら平気だと思ってたし」
うん、まあ、ノアちゃんは本当に桁違いの強さだからね……。
「死神の札って組織はその名前的に全員が疑似超人なんだろう」
「ってことは、ノアちゃんレベルで強いのもいるかもってこと?」
「警戒はしといたほうがいいだろうな」
うう……。
星ちゃんだけでも大変だったのになぁ……。
生き残れるか不安になるなぁ……。
そんな事を考えながら研究所があった施設にしてこの街の象徴、精霊の大樹を後にした。
明日もよろしくお願いします。




