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革命計画と拝金主義者

「革命…………?!」


 つまりリラル族の人たちは、クレイ族からこの国の統治権を取り上げようとしてるってこと………?

 これまで受けてきた仕打ちを考えれば、当然行き着く考えではあると思うんだけども。

 そもそも少数民族なのにどうやって………?


「…………ふむ」


 フェイサートも少々急な話に面食らっているようだ。


「それで計画というのは?」

「うむ」


 族長が話始める。


「例えば、我々が内戦を起こしたとしても、もちろん数の差で負けてしまうだろう」


 まあ、そうだよね……。


「だから我々は夜間に城に忍び込み、王と中枢を抑える」

「口で言うのは簡単だろう。だが、見込みはあるのか?」

「ああ、我々は秘密裏に城の地図を入手した。計画ももう2年をかけて練ってある」

「それで成功するのか?」


 フェイサートは疑っているようだ。


「成功させなければ、リラル族に未来はない」

「……………………まあ、いい。それで、俺に何を望む?」

「そうだな。君には」


 1つは、単純な戦力として。

 リラル族最強の戦闘能力を持つ彼がいれば成功確率が上がるため頼みたいのだとか。

 ってかフェイサートってリラル族の人だったんだ。

 2つ目は、船を借りたいのだと。

 虹金鋼製の船ならほぼ完全なステルス装置が搭載できるらしく、これもあれば成功確率を上がるのだとか。


「この2つで協力願いたいのだ」

「まて、協力?」


 フェイサートが聞き捨てならないと口を挟む。


「ああ、そうだが」

「俺は賞金稼ぎであり傭兵だ。金がでないなら俺は参加しない」

「それなりの額は用意するつもりだが……」

「そうだな。同じリラル族のよしみだ、少しは負けてやろう」


 フェイサートは一呼吸おいて、また続ける。


「1億2000万だ。それ以下には下げない」

「な?!」


 いや私の懸賞金より高いんですけど。


「どう取り繕うが、やろうとしていることは革命だ。俺はその幇助どころか実行犯にならなくてはならない。檻の中に入るだけならまだしも、死ぬ可能性もある。そう考えれば安い方だろう」


 吹っ掛け過ぎではと思ったが、確かに考えてみればそうかも……?


「今回の革命は長きにわたり苦汁を飲まされてきた我々リラル族の解放のために行うのだ。お前もリラル族であればその重要さがわかるだろう?!」

「俺は興味などない。クレイ族のことはもちろん、リラル族の苦汁だの歴史だのにもな。興味があるのは金だけだ」


 あはは……。

 拝金主義もあそこまで行くと尊敬するな。

 と、私はもうこの辺でいいかな見つからないうちに出ていこう。

 そう思って立ったとき、体勢を崩して手すりを掴んだとき誤って、キュっという音を鳴らしてしまった。


「?! なんだ今の音は?」

(まず!)


 すぐに見えない場所に隠れる。


「ちょっと見てきますね」


 そういって一人が階段を上がってきた。

 どうしよ。いま動いてもバレるし……、かといってこのまま息ひそめててても、バレるし。

 最悪戦闘かな……。


「ネズミかなにかでしょう。話を続けよう」


 族長の一声で、何とかバレずに済んだ。


(あっぶな……)


 力が抜けため息を吐く。


「まあいい。とにかくそういう話だ。この依頼は割に合わない」

「いやしかし……」

「もしその革命とやらが成功して、また何か依頼したいことがあったならその時はまた呼んでくれ。報酬と割に合えば引き受けてやろう」

「ちょっと待ってくれ!」


 そういってフェイサートは帰る準備を始めた。

 見つからないよう私はその場を後にした。

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