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テスラニウム

 瞑想し、魔力と気力の回復に努めていると、数分したのち愛歌が戻ってきた。


「道具はとられていなさそうね。まあこのセキュリティの突破は簡単にできないでしょうけど」


 愛歌から袋を受け取る。

 改めてメンテナンスをしておかないとな。

 ここから抜け出す時に必要になりそうな道具をメンテナンスする。

 そして腕時計型の変身装置を取り出し、元の世界でヒーロー活動をしていた時のスーツを身に纏った(※1)。


「え? それで行くの?」


 愛歌が驚いたように訊く。


「ああ、魔力も気力も無駄にはできないからな。気力を効率よく変換できるこの装備は役に立つ」

「了解。殺傷モードをオンにしておくわよ」

「頼んだ」


 愛歌がスーツの中に入る。

 俺は仮面をつけた。


『じゃあ、いくつかおすすめのルートを表示するわね』


 と愛歌がいうと仮面裏のディスプレイにいくつかのルートが示された。


「おすすめは?」

『排気口を行くルート』

「はあ、しゃあない行くか」


 そのルートを選択し、表示に従って排気口を伝って進んでいった。


「建物の構造をスキャンできたのか?」

『まさか。白が捕まってた周囲だけよ。この通気口から微弱な空気の流れが観測できたから外に繋がってる可能性が高い』

「なるほど」


 迷路のような通気口を幾ほどか進んでいると、何やら騒がしい音が聞こえてきた。


「ん? 何の音だ?」

『まるで作業中の工場みたいな音がするわね』

「こんな夜中にか?」

『地下だからね。周りに迷惑かけることもないし、作業していたって不思議ではないでしょ』


 言われてみるとそうかもしれない。


『ここからだと何を作っているのか、あまりわからないわね』


 光がかすかに漏れるような通気口から様子を伺っている状況だ。


「こんだけ捕まってたんだ。何か情報を得たい。降りて調べてみるか」

『いいけど無理はしないでよ?』

「ああ」


 排気口から這い出て下に降りる。


『人が来る!』


 すぐに陰に隠れやり過ごす。


「はあ、久しぶりだなこういうの。慣れねぇよ」


 文句を言いながら吹き抜けになっている階下を手すりから見下ろした。

 ここは五階の様だ。


『あれ、テスラニウム(※2)よ』


 その吹き抜けの真ん中に浮いている巨大な物体の表面の金属を指していった。


「やっぱそうか?」


 テスラニウムは虹色の金属光沢が特徴の魔法金属だ。

 元の世界では製造に人間一人を犠牲にする必要があったため、愛歌が忌み嫌っている金属でもある。


『ええ。でも変ね。電磁場を纏っていない』

「テスラニウムがもつ電磁場は製造過程で含まれる物だろ? この世界では製造方法が違うんじゃあないのか?」

『その可能性はあるわね。ちょっと見て回ってきてもいいかしら?』

「ああいいけど、騒ぎを起こすんじゃあないぞ」

『なっ?! あのねぇ! 私を何だと思ってるの?』

「あーおしゃべりAI」

『はあ?! あんたこそ騒ぎを起こさないでよ?!』


 そう言って消えていった。


「侵入者d……」


 後ろに人の気配を感じ、報告される前に急いでスタンさせる。


「だから騒ぐなって」

※1:「白が人を殺さないようにヒーロー活動ができること」を目的として愛歌が発明したスーツ。

水闘気力を様々な力に応用する装置が搭載されている。・

詳しくは前作『ノクティルーカ』参照

https://ncode.syosetu.com/n3801jd/


※2:人体と金属を強力な磁場で融合させると生まれる魔法金属。

詳しくは前作『ノクティルーカ』第八話:冬入りとテスラニウム(後編)参照

https://ncode.syosetu.com/n3801jd/16/

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