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襲撃

「レインズに行こうか。北側……、リラル族自治区で一番栄えてる町のはずだから」


 そうアルノに言われ、私たちは火山から遥か西の街を目指すことになった。

 森を抜け、比較的小さめな砂漠を抜け……。


「この荒野を抜ければ、やっとユノの森。その北の海岸にレインズって町があるよ」

「はあ……、やっと半分くらい来たかなってとこ?」

「うん。これでもウィンダルフ大陸よりは狭いんだけどね」

「何せあそこより環境が厳しいから。結構かかってるように感じちゃうな」


 私たちは今、アメリカとかにありそうな荒野に立っている。

 メサとか、ビュートとかっていうような地形だったと思うけど……。


「あはは。ごめん。実際に歩くのは初めてだからさ……」

「ま、しょうがないか、早くノアちゃんを追いかけよう」


 こうして話している間にも、ノアちゃんはどんどんと進んでいってしまう。

 半日も歩いた頃。


「あれ? 町?」


 いくつかの建物が川の横に現れた。


「廃墟だね」


 少し休めるかな、とか思ったけどとっくに誰もいなかった。

 それどころか、もう何十年も人が居なかったように見える。


「川も流れてるし、まだ住めそうなのに、どうして……」

「何十年も地方の過疎化が深刻でね。そりゃ誰でも便利な方がいいからさ」


 なるほどね。


「今日はここに泊まらせてもらおうか」


 空を見ると少しづつ暗くなっているのが見えたから、そう提案した。


「うん、そうだね。家を使わせてもらって……、ん?」

「どうしたの?」


 アルノが深刻な顔になって、冷や汗をかきながら止まっている。


「何か聞こえる」


 ノアちゃんも空を見上げながらそんなこと言ってる。


「え?」


 耳を澄ましてみると、確かに明らかに自然の物じゃない音が聞こえた。

 なんだろう。飛行機に近いような……。


「これって……」


 ノルアちゃんの顔が青くなっていく。


「ヤバい! 隠れ……、いや、ここじゃだめだ! とりあえず逃げて!」

「え? どういう」

「いいからっ!!!」


 言われるままに走り出す。すると上空にそれが現れた。


「まずい、思ったより近くにいた」

「何あれ……?」


 鉄の塊、と言うのが最初の印象。それが航空機だとわかったのは、浮遊しながらこっちに爆撃してきたからだ。

 次の瞬間、ドドドドドドドドドッ! という音と共に、自分たちの近くに粉塵が上がる。


「うっわ! 撃って来たんだけど!」

「だから! 走って!」


 それが光線銃のマシンガンのようなものだと気付いたのは頬を掠めて行った時だ。

 私たちの周りがどんどんと爆発していく。いつからこの世界はSFの世界になったんだろう。


「あれはなに?!」

「賞金稼ぎのSEL-S(セーレス)!」


 SELは個人が所有する乗り物。移動車以外のね。

 自家用車、クルーザー、プライベートジェット……、そんなものの総称。

 SEL-Sは飛行物体。


「なんであんなのが空を飛べるわけ!?」

「反重力! それが開発されてから、あんな形でも空を浮くようになったの!」


 本当に、科学ってのは恐ろしい物ですね。

 そんな事を言いながら逃げていると、ピタリと砲撃が止まる。


「ん? 諦めたのかな?」

「そんなわけないよ! あいつに狙われて逃げ延びた賞金首は、一人しかいないんだよ?! 簡単に逃がしてくれるはずない! 現に今も追いかけて……、うっわ、なんか、武器変えたんだけど」


 変えた武器が嫌な音を鳴らしている。


「嘘、ベール砲?!」

「何それ、ヤバいの?」

「人に使う物じゃないよ」


 何それやばそう。


「はあ……。まったく……」


 そうノアちゃんが呟くと、剣を投げその大砲を壊した。

 撃とうとしていたものが暴発し、その場で爆発する。

 武器は壊れたものの、機体には傷一つついてない。

 

「投げただけじゃ剣も通らなかった。何か特殊な金属を使ってる」


 そうノアちゃんが話している間に、機体の上に人影が見えた。


「げ……、フェイサート……」

「誰?」

「この国一番の賞金稼ぎ……」

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