夜中に……
夜中寝ていると、体を揺らされ起こされた。
「おい、起きろ」
「何? 夜這い?」
「いや、それならわざわざ起こすかよ」
白が冗談をいいながら私を起こした。
「へえ、白はそういうのが趣味?」
「お前なぁ……。それよりほら、早く着替えろ」
「え?」
何に? と周りを見ると。
「やっほ。遅くなってごめんね」
アルノが来ていた。
「アルノ! 大丈夫だった?」
「うん、まぁ……。あの頑固者には昔から苦労させられるよ」
「じゃあ、私たちは無罪放免ってこと?」
「いや、ごめん。それができなくてさ」
「へ?」
「というわで、脱獄幇助」
そういってアルノは鍵で私の死神の枷を外した。
「みんなの荷物も持ってきたから、急いで戦えるかっこに着替えて」
「ありがと」
私は荷物をもってみんなから見えない位置に行った。
*
「で? 俺たちが投獄された本当の理由って何なんだ?」
俺は武器の点検をしながらアルノに訊いた。
「え、そこから聞くの?」
「いや、7日間も本当の理由もわからないまま、こんなとこに閉じ込められてたんだ。理由も気になるだろ」
「でもほら、ボクが身分を偽ってたことは……」
「あんま興味ないかな。事が落ち着いて興味出てきたら、聞くかもしれないけど」
「そうだよー。話したくないことは話さなくていいって」
トイレの方から夜空がそういった。
「そっか。えっと、お父様がね、みんなを正義の弾丸軍に差し出そうとしてたんだってさ」
「じゃあ、クレルラル王はあいつらの仲間ってことか?」
「というか、なにか条約を結んだみたい」
その一環で敵対する俺たちを、あいつらに引き渡そうと……?
「なるほどな。さっさとここを出て、一度エルリフィと連絡とるか……。いやそれとも、契約の石を探す方が優先か……」
考えながら手を動かす。
「何してんの? 銃? それ」
着替えを終えた夜空が俺が机に広げているものを指さす。
「俺が攻撃魔術を苦手としてるのは知ってるだろ?」
「あー前に聴いたかな」
白は魂源:流動によって、触れている者に魔力を流し込むのは得意だけど、空気中での操作が苦手らしい。
つまり強力な魔術を作り出せても、当てることができないんだ。
「それを補うための装備。ユィリスが作ってくれたものを、愛歌がブラッシュアップしたんだ」
つまり白の魔力を先に弾に込めておき、撃つ前に弾の魔力に属性を付与し魔術を生成。
それを撃ちだすことで、魔術を当てるという作業だけを銃に任せることができるってことらしい。
ちなみにユィリスさんというのは白の……、はぁ……、白の婚約者さんの名前だ。
ここに閉じ込められてるとき、そういえば聞いてないと思って聞いてみたんだ。
「ほら一本やるよ」
そういって弾を一本投げ渡され握ると、少し体の魔力が回復した。
死神の枷の影響で魔力をほとんど抜き取られてたから助かった。
「魔力の貯蔵庫にもなるんだ」
「そゆこと」
白はたまに魔力が全てにまだ入っていることを確認して、片づける。
「さて、とりあえずここを脱出しよう」




