第2話:砂漠に咲く薔薇が見たくて(7)
「なんだよ。お前、そんだけ強い癖にあんなゴミのいいなりか? みてたけど、前戦った"力"とかって奴よりも実力上だろ」
「ふっ。星はその強さゆえに、僕と"死神"様の命令に従うように作られているのさ。そうだろ、星?」
「はい、お兄様」
「だったら、そいつを早く、殺せ」
そう命令が下ると同時に、白に剣を振り下ろそうとした。
しかし白はそれを手で受け止める。
「つまりそれは、てめぇのそれが本心じゃない可能性だってあるってことだろ?」
「……」
「うるさい、余計な事を言うんじゃない」
少し焦りも混ざった声で月がそういった。
「それとも何か? 星のことも口説いて、お前のとこのごみ人形と同じように奴隷以下のラブ〇ールみたいに使うだけ使って捨てるつもりか?」
続けざまにそう白に向かって暴言を吐いた。吐いてしまった。
その瞬間月がいた場所から、ドォン、という轟音と共に砂埃が舞った。
みると白が月の頭を掴み、床にたたきつけたようだ。
それだけでは飽き足らず、まるでボールかのようにつま先で月を蹴り上げ、空中で首を掴み、そのまま壁に叩きつけた。
「おい、クソチン〇ッ!! てめぇがチ〇カス以下のゴミな事は俺にとっちゃあどうだっていいことだけどなっ! もう一遍その汚ぇ口でノアに暴言の一つでも吐いてみろ! 頭蓋を叩き割って、そのタンカスみてぇな脳みそ生クリームみたいにひねり出して、ゴキブリの餌にすっからなッ!! 覚えとけよ、このバナナ頭っ!」
白は物凄い形相でそういいながら、月の首を掴んで何度も壁に叩きつけていた。
「おい、返事はっ?! ゴミは返事もできねぇのか?! 育ちわりぃなっ!」
白さん、白さん。その方とっくに気を失ってます。
ってか、ワンチャン死んでる。
「兄様!」
勢いに圧倒されていた状態から我に返ったらしい星が後ろから白に斬りかかる。
が、白に上手くいなされ、そのまま組み倒されてしまう。
私は白の事を知っているからそうは感じないが、はたから見たら小さな少女を押し倒している男に見えるだろう。
「で、てめぇは?」
まだ怒りが収まらないらしい白がその勢いのまま、ゼロ距離で星に問う。
「?」
「てめぇはどうしたいんだ?」
「……??」
何を聞かれているのかわからないらしい。
「てめぇの兄や死神の札とかって連中と同じことをしたいのか? それなら俺は敵としてお前と戦ってお前を殺してやる。でも、そうじゃないのなら言ってみろ。少しの手助けくらいならしてやる」
「……、無理、だよ。私は、彼らの命令に背くことができない。そういう風に作られた、から……」
顔を歪ませながら、悔しそうにそういった。
「できるかどうかじゃない! 俺が聞いてんのはお前がどうしたいのか、だ! それだけは、お前が決めていい!」
「わたし、は……」
少女は涙を流していた。
「私は……、普通の暮らしが、送りたい……」
そっか。
そうだよね。
こんな風に戦いに身を投じているからと言って、犯罪に加担しているからと言って、どうしてもそうしたい、というわけじゃないんだ。
ましてはこんな小さな女の子だから。そう願うのは当然だ。
「そうか、わかった」
白は少し優しい顔になったあと、少女を気絶させた。
なんか白の暴言書いてるところ、今までにないくらいノリノリで書いてしまっていました。




