国家転覆未遂
「黙れ、貴様らを国家転覆を図った容疑で逮捕する」
「…………………………は?」
聞き間違えかな?
「国家転覆?? そんなの企ててる奴がのんびり公園で飯食ってるってのか」
白が最もな事を言う。
「偽造の書状を作り、自らをフラエル皇国の使いなどと憚り、王に近づこうとしたんだろう」
「はぁ? 偽造文書なんかじゃないが?」
わけがわからない。
ほんとうにそうなんだとしたら、偽書であるかどうかなんてすぐにばれるでしょ。
っと思ったけどそうじゃないようだ。
「数年前にフラエル皇国天帝より送られてきた文書と比べたところ、筆跡が違うものだった」
「…………」
あ……。
そうか。書状を書いたのがミファじゃなくてエルリフィだったから……。
「いや、だとしても印とか、本物かどうか判断する基準は他にもあるだろ?」
「とにかくこい。言い訳はあっちできく」
「あ?」
「ちょっと待ってよ、レト。じゃあボクは外観誘致になるのかな? 偉くなったもんだね」
アルノが間に挟まる。
知り合いなのかな?
「……。だれだおま……、っ?! ま、まさかアルノ王子様でありますか?!」
「え?」
お、う、じ、?
「そうだよ久しぶり。とにかくボクが保証する。この3人は本当に、フラエル皇国使者としてここにいるの。無礼な真似はやめて。最悪、国際問題にだってなりえるよ」
「……しかし、王の直々の命で」
「じゃあ、父上に会わせて。ボクが説得するから」
「……承知しました。ですが、申し訳ありません。お連れの方々は一時拘束させていただきます」
そういって3対の輪っかを取り出した。
「死神の枷? よくまあ、そんなもんを保有してるなこの国は……」
白が呟く。
「しかたない。ごめんね、白クン、ノアチャン、夜空チャン。すぐ助けるから少し待ってて」
「わかったよ」
私たちはみんな輪っかを腕にはめられる。
「っ……?」
急に脱力感が走るとともに、二つの輪っかが磁石のように引き合った。
紫の稲妻で繋がりはじめた。
すぐに誘導され、護送車に入り込んだ。
少し走行したあと、街から少し離れた先に大きな西洋風のお城が見えてくる。
「あれは?」
アルノに訊いた。
「……………………クレルラル城だよ、ボクの実家」
あー、まぁーじで王子様なんだ。
なんで異国で冒険者なんてやってたんだろ。
「じゃあ、行ってくる。待ってて」
私たちとは別のとこで降りたアルノがそう言って離れていった。




