クレルラル王国首都クラウノ
2時間弱の高速鉄道をおり、階段を上がると無数のエレベーターが存在する空間に出た。
「え、多くない?」
「外部に出る手段が緊急避難通路を除いてエレベーターしかないからね。6人程度がのれる物がいくつもあるんだ」
そう説明を聞きながらエレベーターに乗った。
「空いてるターミナルにお願い」
『了解しました』
機械音声が聞こえたのと同時に、急激に高所に運ばれる。
強い重力を感じた。
そしてまたスゥー、ピタッと止まった。
『52階、82番ターミナルです』
「え? 今なんて?」
「ふふふ」
そして扉が開かれる。
「ようこそ。ここが、クレルラル王国の首都クラウノだよ」
「うっそぉ……」
そこはSF映画に出てくるような巨大都市だった。
私たちが今いるような超高層階の建物は数えられるほどしかないけど、それでも多くのビルが乱立し眼下には美しい街並みが広がっている。
私たちはその駅がついていた巨大ビルの壁についている半円形の床の上に立っていた。
ビルとビルの間には何か小さな箱が列をなして空を飛んでいた。
車の様だったけど、全ての形が同じだ。タクシーみたいなものかもしれない。
「東京なんて、目じゃないよ、これ……」
「ニューヨークすらもね……」
愛歌が続けた。
「噂には聞いていたけど、想像以上だわ」
うわさも聞いてないこっちは、もっと驚きだけどね
満足そうな顔をしながらアルノはターミナルについている端末を弄っている。
「それは?」
「移動車を呼ぶ端末だよ」
「移動車? 下に飛んでるあれ?」
「そう。この街の全ての家にここみたいなのが玄関についててね。空車を呼ぶことができるんだ」
「じゃあ、人は運転しないの?」
愛歌が訊いた。
「人が運転なんかしてたら危ないでしょ」
いや、そうだけども。
車やバイクを運転するのが好きな人はこの国では生きてけないね……。
そう会話をしているうちに、移動車が飛んできて扉を開いた。
みんなで中に乗る。
「クレルラル城前までお願い」
『承知いたしました』
エレベーターの時のように機械音声が聞こえ動き始めた。
「王に謁見するには手続きにかなりの時間を要すると思うから、早いとこエルリフィ様の書状を提出してきて、観光でもしようか」
「いいね。気になってたんだ」
「あ、それなら私は別行動でもいいかしら?」
愛歌が急にそんな事を言い始めた。
「どこか行くのか?」
「さっきインターネットを感知したの。ちょっと潜って色々と調べてこようかと思って」
なるほど。
そういえばこの人もともとAIだっけ。
「いいけど、変なウイルス貰ってくるなよ?」
「私を誰だと思ってるの?」
そういって愛歌は空気中に溶けて消えた。




