イメトレ
新章です。
よろしくお願いします。
カキィーン。
見渡す限りの黒で染まった空間に、金属音が響き渡る。
「キッヒッヒッヒッ」
「もう! その笑い声、本当にイライラするなぁ!」
私の刀を受け止めたグリンが鎌を振るう。
体を後ろに反らしギリギリのところで避ける。
そのまま地面に倒れこんで手を付くのと同時に顎を蹴り上げようとしたが一歩遅く当たらない。
その勢いのまま、バク転して少し間合いを取る。
「火氷獣!」
火属性魔術と氷属性魔術を同時に左右から出し、疑似的な魔獣を作り出す。
それにグリンを襲わせている間、私は少し迂回して走り攻める。
「ああ、もう!」
魔術はすぐに霧散させられ、私の攻撃に対抗されてしまう。
上から斬り下ろした刀を鎌で止められたが、その止められた場所を起点にしグリンを飛び越し後ろから攻撃する。
「これもダメ?!」
しかしすぐに対応されてしまう。
それどころか。
「っ! つぅ……!」
胸から鎌で体の表面を裂かれる。
ドスっ!
「?!」
手で胸をつらぬかれ、心臓を掴まれた。
「はい! アウト―!」
「ぷはぁ……、はぁ……、はぁ……」
愛歌の声で意識が現実に戻る。
海に返った太陽光がちらちらと眩しかった。
ここはクレルラル王国とフラエル皇国の間の海の真ん中。世界の全大陸をつなぐ海洋鉄道の列車の中だ。
海の上を列車で行くわけで、何日も箱詰めにされたままだ。
暇で暇でしかたないので、イメージトレーニングをしていた。
「魔術はよかったけどな。そのあとの攻めがちょっと甘いか」
白が言う。
「夜空は隙が大きすぎる」
「というより、動きが夜空ちゃんに合っていないような」
ノアちゃんとアルノも続く。
イメージトレーニングと言っても普通のものとはちょっと違う。
私の中に入り込んだ愛歌が仮想空間を作り、その中に私たち全員の中に記録を基に仮想のグリンを作り上げ私が戦っていた。そしてそれを愛歌の能力で全員に見てもらってたのだ。
恥ずかしかったけど、強くなるって決めたからね。その辺は諦めてアドバイスを貰えるよう頼み込んだ。
「だって夜空ちゃんの動きは白君の真似をしたものだよね?」
「え、そのつもりはないんだけど、そう見える?」
「うん。そっくりだね。私も少しは武の心得があるものとして、それくらいは感じ取れるよ」
なるほど。
「あの戦法は白や私だから意味がある。夜空には合わないから、自身にあった戦法を探すとこから始めたほうがいい」
そうノアちゃんが言った。
そう言われてもなぁ……。




