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第2話:砂漠に咲く薔薇が見たくて(6)

「はぁ、はぁ……」


 既に体感で10分近く、星というコードネームの少女と戦闘を続けていた。

 いや、戦闘なんかじゃないか。

 強化魔術、気力による視力と身体能力の強化、そして霊視覚の全力展開。それだけの強化を施してやっと私はサンドバッグとして機能していた。

 魔力や気力の残量もまずいが、霊力を操るのはかなりの集中力を要するから疲弊感も溜まってきている。

 ルトさんほどになればわからないが、私程度の練度ではそうもたない。

 魔力や気力の事を含めても、あと戦えて2、3分だ。


(もう、あのバカ! これで死んだら後でつねる!)


 白に心の中で毒づいた。

 そしてついにその時が訪れる。

 

「うっ、目が……」


 視界がかすみ始めた。

 魔力と気力を使い過ぎた事による、身体の疲労。

 それによって霊視覚を保っておくだけの集中力も切れてしまう。


「げほっ、ごほっ」


 またも同じように壁に叩きつけられる。

 うまく回らなくなった頭で近づいてくる少女を見る。

 今にも私に向けて剣を振るおうとしていた。

 しかし。


 ボゴっ。


 月とかって男が少女を殴った。


「こら、戦えとは言ったけど、殺していいなんて言っていないだろう?」

「ごめんなさい、兄様」


 うわぁ、DVじゃん。引くわぁ……。


「まあ上は殺せってうるさいけどね。人間にしては割と上玉なんだ。食ってからじゃないと勿体ないだろ?」


 そういいながら私の顔に顔を近づけてきて、腰に手を触れてきた。


「気持ち悪い」


 ってか、割とで悪かったね、割とで。

 抵抗する力もないまま、腰を触られていた手がねっとりと上部へと上がってくるのを感じていた。

 

「うっ……」


 こうした男性の性的な暴力性にはトラウマがあり、少々吐き気を催した。

 そんな時だった。


「あのさぁ。そういうことするときは、せめて敵がいないところでのほうがいいと思うよ?」

「っ?! 兄様危ないっ!」


 ドゴォおおおん。


 大きな音と共に、目の前から月が消えた。

 代わりに砂埃と細かな石が数個、飛んできた。


「けほっけほっ。なに?!」


 見ると、目の前には白がいた。


「どうやったの?」

「拘束されたまま、柱を抜き取ってそれであいつを殴った。今の衝撃で一瞬気でもやったのか、闘気の腕輪も消えたな」

「はぁ?」


 うん、まあいいや。

 こいつが出鱈目なのは知ってるし。


「く。くっそ!? 何をしているんだ星! しっかり見張っていろ! そんな事も言われなきゃできないのか?!」

「申し訳ありません、お兄様」

「もういい、早くそいつをどうにかしろ」


 む。

 今更だけど、ムカつく奴だなぁ。

 自分で戦いもしないくせに。


「はい、お兄様」


 星ちゃんの方は、健気にDVクソ兄貴の命令を遂行しようとしている。


「はぁ……」


 白は面倒くさそうにため息をついた。

明日もよろしくお願いします。

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