表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/372

第1話: 拝啓、空の青さを知らぬ貴女へ(2)

―――翌日・フラエル皇国・"自由と大樹の街"フラウロウ


 私を含めた仲間の4人がテーブルを囲っている。

 愛歌さんがテーブルの真ん中に置いたデバイスを起動すると、部屋の空間一杯に立体的な映像が現れる。このデバイスは愛歌さんが作ったものらしい。

 その中の一つである、宙に映し出された紙を愛歌さんが手に取る。


「今回の依頼は人探し」


 今回っていうか、依頼を受けること自体初めてなんだけどね。


「依頼主は武器商人、サミ・トレントット22歳。10日前自宅の蔵を整理中、20年前に亡くなったおじいさんの弟さん、ソラ・トレントットの遺書と小さな箱を発見。どれだけ開けようとしても箱が空くことがなく不思議に思い調べていると、特定の人物が触れなければ開かないという術式が駆けられていることがわかった」


 ソラさんは卓越した魔術師だったという記録も残されているため、これは本人が意図したもので間違いない。


「そこで手紙に宛てられた女性を探しサミのところへ連れていく、これが今回の依頼」


 続けて別のとこに浮いていた紙を手に取る。

 愛歌さんはそんなことせずとも覚えているはずなので、これは雰囲気を出すためにやりたいのだろう。


「ソラは暗黒期が終わった直後にフラウロウで生まれた。あ。暗黒期、というのは約100年前まで続いていた、魔王と人間が戦争をしていた時代の事ね」


 そんな事があったんだ……。

 この世界の人にとっては義務教育レベルの常識なんだろうな。今度勉強しとかないと。


「黎明期から現代までの冒険者の在り方や文化を築いた一人で、35年前に冒険者を引退し地方で余生を過ごし、20年前に亡くなった」


 結構有名な冒険者だったのかな?


「さて、ここからは一日で私が手に入れた情報と推理に入るわね」


 愛歌さんは更に別の紙を手に取る。


「手紙から捜索の対象の方が盲目であったこと、そしてソラさんと恋仲であった事がわかる。けれど冒険者を引退する55歳までに配偶者がいた記録が残っていない。それ以降の事は、そもそも記録がほとんどない。固定のパーティメンバーがいたこともない。とにかく情報が少なすぎるから、対象を広くして捜索するしかない」


 だいたい、ヒントが少なすぎるんだよ。


「対象を現在50~100歳の女性と仮定して国民データを検索してみたんだけど、合致するのは僅か3名」


 さらっと言ったけど、それって犯罪では?


「フラウロウの住人となると一人もいないわ。その3人も、ソラとの接点は見つからない」


 手掛かりなし、ってわけ?


「魔法学が進んだ国じゃ、後天的な欠損は殆ど治せてしまうからな、やっぱ難しい依頼だ」


 白がぼやく。


「さて、今のはあくまでお相手が人間の女性だと仮定した場合。この国、フラエル皇国ってエルフの国でしょ? 相手がエルフである可能性も考慮しないとね」


 エルフの寿命は大体250~300歳と言われている。

 私たちの世界の創作物では何千歳とかとされている場合もあったから、それと比べると短く感じてしまう。が、それでも人間の3倍近くは生きるわけで、十分に長命種と呼べるよね。江戸時代くらい生きるわけだから。


「で、もう一度検索してみたところ、可能性のある人物を見つけたの。"魔獣ハンター"ルト。ソラと同時期に、盲目でありながら凄腕の狩人として名をはせたエルフの女性よ。ソラとパーティを組んでいた時期もあるみたい」


 愛歌さんが別の紙を手に取る。


「確定ではないけど、この人で間違いないんじゃないかな。ただね、この人は約40年前に行方不明になっているのよ」

「うへぇ。それ、見つかるの?」


 もし見つかったとしても的が外れてたら、また一から探し直しだし。


「そう、大変な事には変わりない。でも狙いが定まっただけでも少しは楽になったでしょ」


 確かにね。


「とまあ、私が一日で調べられたことはここまでね。後の事は冒険者なんだから、そっちで探して頂戴」


 愛歌さんがデバイスの電源を切る。


「了解。まずはソラが余生を過ごしてた場所に行こう」


 白が立ち上がって言う。


「愛歌、場所は?」

「ここ中央都市フラウロウより北西に500km弱のキーサ港、そこから数十km南にある廃村よ」


 キーサ港はこの国の二大港の1つ。この国の交通網を使えば1日でつくだろう。

 そこから歩きで2、3日、で着くのだそうだ。


「俺と夜空で行ってくる。ノアと愛歌はこのまま情報集めを頼んだ」

「ん」

「おっけ」


 その日の午後から、私たちはフラウロウから旅立った。



―――世利長愛歌(せりながあいか)記憶領域(ストレージ):file.2【フラエル皇国】―――

 この世界の三大国家の一つよ。

 天帝であるエルフのエルリフィが興し、1200年もの間治めている国。

 世界で最も冒険者の文化が盛んな国でもある。

 夜空たちが冒険の拠点としているのがその中央都市であるフラウロウ。

エルフの寿命についてどうしようか悩んだのですが僕の物語の設定上、"エルフは人の進化の一つ"なのでこれくらいの寿命がリアリティあるかなと思いました。

また明日も見に来てくださったら嬉しいです

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ