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大樹の上で(後編)

「私強くなりたいよ……っ!」


 滲む視界を睨みながら、絞り出した。


「正直、今まではそんなこと思ってなかった。戦いを避けられるならそれでいいって思ってた。でもだめだ。本気で殺しに来るやつが敵なのにそれじゃ、ダメなんだ。世界の全部を救いたいなんていわないけど、せめて、手に届く範囲のものは掬いとれるようにならなきゃだめだ。このままきっと後悔し続けることになる。だから……、強くなりたい……」


 白の肩に額を置きながら続ける。


「白や愛歌やノアちゃんと肩を並べて戦ってても、恥ずかしくないくらい、足を引っ張っらないくらい強くなりたいよ。……だから……」

「ああ、俺も力を貸す。頑張ってみよう」

「うん」


 ああもう……。

 すごいなぁ……。

 ずっと同い年の幼馴染で、なんなら弟みたいに思ってきたのに、ちょっと見ないうちに、こんなに大きくなって……。


「好きだなぁ……」


 ついそんな声を漏らしていた。


「は?」

「え?」

(あれ? 今私なんて……)

「……///」


 自分の言葉に気づいてからどんどんと顔が赤くなってるのを感じた。


「えっと」

「ああもう! そうだよ! いつからかわかんないけど! 好きだったよ……。でも、昔白の告白を拒んだ私がそんな都合のいいこというのはどうかと思って、押し殺そうとして。でもずるいじゃん! 隙になっちゃうよ!」


 そしてダムが決壊したように勢いで次々と言葉を紡いでしまった。


「あっはは、ありがとう……。ただその前にも言ったけど、俺婚約者がいるから……」

「はぁ……、これでも結構一世一代の告白のつもりだったんだけど……」


 ってか、あの話本当だったんだ。


「まあいいや」


 そう言って、白にくっついて肩に頭を乗せた。


「おい……」

「いいでしょ、これくらい。で? どんな人なの? 婚約者さんは」

「どんなって、金遣い荒くて、人使いも荒くて、いう事がきつくて……」

「悪いことしか言ってないじゃん」


 仲良かったんだろうな……。


「で? 婚約者って言ってたけど、もう一度会えるの? だって、同じ世界に行ける可能性なんてほぼ0でしょ?」

「もう一度会うって約束した。死神なんかは自らの意思で世界を渡ることができる。可能性は0じゃないんだ。その方法を探す。そのために生きてる」

「で? その頃には新しい彼氏見つけたり、もしくは時間かけすぎて亡くなってる可能性だってあるんじゃない?」


 何となくルトさんたちの事を思い出してそんな事を訊いてしまった。


「それは俺が決めつけていいことじゃない。俺が約束したことなんだから、まずはそっちの落とし前をつけないと。それまでは他の人とかってのは、考えないようにしてる」

「ふーん、そう」


 本当に、変なところで馬鹿正直なんだから……。

 はぁ……。


「でも、私はあきらめないから」

「え、は?」

「名前も顔も知らない人だけど、その人に私は負けないから。覚悟してね」

「……」


 ま、今日のところは、白の照れ顔なんて珍しいものが見れたし、こんなとこでいいかな。

次回以降も読んでいただけたら嬉しいです。

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