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被害報告

 被害報告。

 死者行方不明者、約2万人。

 負傷者の回復は、戦いの最中も行われていたため大抵の者はもう回復している。

 しかしあまりにも重傷すぎるため魔法での急速な回復が危険な場合は応急処置のみでまだ回復しきっていないし、救出が遅れすでに後遺症が残ってしまうことが確定してしまっているような人もいる。

 街としての被害は、建物の3分の1が半壊、もしくは全壊。

 その他にも火事や戦闘によるダメージを受け、住むのが困難になってしまった住宅などがいくつか。

 長い歴史による美しい街並みを誇っていたフラウロウは、一晩にして大きな戦いの爪痕を抱えることになった。



 ……新蜂の被害。

 ガイールのパーティ―――崩壊。

 メンバーの一人、ファアニイが裏切ったレェスに首を搔き切られ即死。

 その事に責任を感じ、そもそも戦いに参加することも、その場にいることすらもできなかったことを嘆いたガイールは、冒険者を引退。

 アルノがリーダーとしての後を継いだと言っていたが、パーティとしては実質崩壊状態となっている。

 レェスはノアによって捕縛。現在はエルリフィの魔法で後続されフラウロウ地下に幽閉されている。


 魅風の2人―――――――活動停止。

 イヴィがトリカに心臓を裂かれ即死。

 妹と父親をほぼ同時に失ったリーフは目覚めた後発狂。精神を病み、現在実家で療養中のため活動停止。


 冒険団ファンタジア―――活動継続予定。

 リーダー・ノール、副リーダー・シンビィ、共に死亡。

 暴れていたトリカから市民を守り戦っていた最中にシンビィが死亡。

 その後もノールは抵抗を続け、飽きたトリカがその場を離れた直後、出血多量で死亡。

 蘇生魔法を使用できる人員が近くにおらず、手遅れとなった。


 唯一、私たちのパーティは全員無事生き残った。

 そのため私たちだけが天帝の下で雇われたままになることになった。

 故に戦後も行方不明者の捜索、復旧作業、避難者たちへのケアなどで、奔走していてゆっくり休む時間を取れたのは3日も経った頃だった。

 いや、忙しくしていた時の方が何も考えずに動けて楽だったかもしれない。

 今こうしてゆっくりとした時間を貰えてしまうと、どうにも色々ぐるぐると悪いことを考えてしまったり、嫌なことを思い出してしまったりする。

 特に2人で並べられたノールとシンビィを見た時は、流石にショックだったな……。

 他の新蜂の人たちと違ってその場にいなかったから、心の準備ができず結果だけを突きつけられて、受け入れるのに少し時間を要した。


「こんなとこにいたのか? 少しは寝たほうがいいぞ。疲れてるだろうから」


 私が大樹の枝の一つから灯りの少ないフラウロウの夜景を眺めていると、白が来てそういった。


「白は、そうしなよ。私はもう少しここにいる」

「そうか。じゃあ、俺もここに居ようかな」


 そう言って白が隣に座ってきた。


「……? 寝るんじゃなかったの?」

「俺はちょっと寝た後だからいいんだよ」

「あっそ」


 こんな日でもフラウロウに吹く夜風は嫌なくらい心地のいい物だった。

今後ともよろしくお願いいたします

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