第2話:砂漠に咲く薔薇が見たくて(5)
シーラさんから依頼を受け、言われた空洞までいった。
そこを進んでいったとこで大きな扉が出てきた。
「はあ。なんでボスのいる部屋ってどれもこれもこんなわかりやすいんだろうな」
白がぼやきながらドアを開けた。
そこの奥にいた金髪の男は不遜な態度で玉座の様な椅子に座っていた。
首輪を付けた二人のシーエルフの女性のリードを握っている。
そして、座っているその少し後ろに護衛らしき少女がフードを被って立っていた。
もう……、美少女ばっかに囲まれちゃってさ……。
「何かと思えば君たちか。女帝の報告にあった」
部屋に入ってきた私たちにそう言ってきた。
女帝って、キロフの事だよね?
ってことは……。
「なるほど。あいつらと同じ組織か」
白も同じことを思っていたらしい。
死神の札とかって言ったっけ?
この組織、かなりヤバい組織なんじゃなかろうか……。
「僕は死神の札の"月"だ」
「へえ。変な名前だな。読みは? らいと?」
「コードネームだ。名前は忘れた」
「へぇ、かわいそうに」
月が舌打ちをする。
「僕は男が嫌いなんだ」
「あーじゃあ、まずは自分を殺したら?」
「……中でも君は特別気に障るな」
うん、まあわかるよ?
それが白の味でもあるんだけどね。
「とは言え、君たち二人の相手は妹でも大変だろう」
そう言って、深緑色の光を私に飛ばしてきた。
「おっと危ない」
それを白が剣で受け止める。
しかし……。
ガラン、ガランガラン……。
「白?」
白が剣を落とした。
その白の腕には月が放った光が手枷のように纏わりついていた。
「えーっと、白さん?」
「あーわりぃ」
その後白が床を滑っていき、近くの柱に磔にされていた。
「……何してんの?」
「うーん。拘束させられちゃったみたいだな」
「何してんの?!」
どうしてくれんの?!
私がまだ戦闘が苦手なこと、知ってるよね?!
「僕の気力を最大出力で使えば、たった一人だけだが完全に拘束することができる。もちろん、魔力や気力といった力も封じ込める」
「え」
じゃあ、水闘気力で拘束を解くのもできないの?!
「さて、その代わり僕自身はほとんど戦闘能力を持たないからね。あとは妹に任せるとしようかな? いけるね? "星"」
そう話している途中、さっきまで月の後ろで立っていた少女が私の方に歩いてきた。
「はい、お兄様」
星、と呼ばれたその少女は身の丈に合わない両手剣を構えている。
「あ、ヤバい」
中途半端に戦闘技術を学んでしまったからこそわかる。
(私、この子に勝てな、っ?!)
少女が、ふっ、とその場から消える。
同時に全身に鳥肌が立った。
急いで気力と霊力で視覚を強化する。
ギリギリのとこで大剣を受け止めた
あっぶなぁ。あと数ミリ秒遅かったら体真っ二つだったよ……。
なんて思ったのも束の間、腹部に強烈な衝撃と痛みが走る。
そして体が吹き飛んだ。そしてその先の壁に体が衝突する。
「げほっ、げほっ……。いったぁ……」
人体って本当にアニメ見たいに飛ぶもんだなぁ……。
なんて他人事のように考えていた。
明日もよろしくお願いします。