表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
189/484

第一次フラウロウ災戦 (11)

 ―――白サイド。


 その異常に気付いたのはだいたい、3万近くの魔獣を駆逐しきったころだ。


「数を減らしやがらねぇぞ、こいつら!」

『ええ、何かがおかしいわ……』


 それだけの魔獣を屠ったというのに、一向に魔獣が減った気がしないのだ。


「はぁああああああっ!」


 でかい敵一匹に強力な一撃を叩き込む。

 その周囲、そして後ろにいた奴らをも同時に霧散させることができた。


「で、今のはなんだ? 他の魔獣に比べて、強すぎなかったか?」

『まるで、いくつもの魔獣の性質を合わせたような……。あっ!』

「ん? どうした?」


 何かわかったんだろうか。

 戦いながら話を続ける。


『塔の研究所から押収した研究の中にあった、"融合蘇生(キメラリバイヴ)"の呪いかしら』


 どっかできいた名前だな。


『ほら、皇帝もつかってたでしょ? 使用方法はいくつか種類があるみたいなんだけどね。今回のは多分、準備として軍全体に魔法をかけておいて、さらに戦地の自陣に魔法陣をいくつか用意しておく。で軍の中のの2個体が死んだら、それを融合して新たな兵として魔法陣で復活させる』

「もっと早く気づけよ」

『悪かったわね』

 

 しかし酷い術だ。

 それが人間の軍にかけられたらと思うとゾッとする。一体どんな風になってしまうことやら。


「つまり、最後の一体を倒すまで終わらない」

『そう言うことになるわ。本当に最初の軍が5万だったとしたら99999体倒せば終わるってことになるけど……』


 ったく。

 あと単純計算でも6万匹近くかよ。

 街に入って駆除されてるのもいるだろうが、それも復活して戻ってんだろ?

 んで、倒せば倒すだけ、どんどんどんどん、強くなっていく。

 ふざけた術だ。


「で? 対処法は?」

『倒し続ける』

「あーそ。そりゃあ、為になる情報をどうも」

『仕方ないでしょう?! 魔法陣がどこにあるかなんてわからないんだし』

「ああ、そんなの探してるうちにフラウロウは全壊だ。なら」


 力技で押し切る!



   *



「すごいねぇ。レェスを一撃で簡単にのしちゃうなんて」


 トリカが煽るようにノアをほめる。


「それで、さっきあの二人に精神干渉を掛けてたのはどっち?」

「私だよ」


 ノアはダメもとで訊いたのだが、あっさりと答えた。

 見た目と話し方同様頭の方も弱そうだと思った。


「じゃあ、サミを洗脳したのは?」

「それはレェス。私はちょっと思考に変化を与えるくらいの、文字通り干渉しかできないもん」

「ふーん。そう」

「なあにぃ、そのつまらなそうな反応は。せっかく教えてあげたってのにさ! ノア!」


 鉈を手で受け止める。


「私の名を知ってる?」


 ノアは疑問を口にした。


「もちろん。正式な疑似超人ならあなたを知らない人なんていないでしょ」


 鉈から手を放し格闘で攻めてくる、トリカ。

 すぐにノアも鉈を投げ、蹴りを受け止めた。


「魔界闘技場において未だ破られたことのない記録、99999戦中99999勝を樹立した最強の疑似超人、ノア」

「だいぶ昔の事だけど」

「言ったでしょ。この記録は未だ打ち破られていない。魔界で生まれた疑似超人は誰だって!」


 トリカはノアが捨てた鉈を念動力で拾い、ノアの首を狩ろうとした。

 ノアも剣を取り出し、それを受け止める。


「あなたが、あなたを倒すことが憧れ」

「私はそんなことにも、そんな記録にも興味はない。勝手にやってて。私に勝ったことにしたいなら、そう言いふらしてくれたって構わない」

「そう。噂通りの人なんだ。本当に、殺し甲斐がありそう!」


 はあ、面倒……。

 ノアは心の中でそうつぶやいた。

次回以降もよろしくお願いいたします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ