第一次フラウロウ災戦 (10)
「ファアニイ!!?」
アルノもそれに気づき声を上げる。
ファアニイ自身も何が起こったのか理解できていなかった。
「今まで仲間としてスパイ潜入させてくれてありがとう。つまらなかったよ」
レェスが言うと、ファアニイの首を完全に掻き斬った。
ファアニイの体が地面に倒れる。
「レェス?! なんで、仲間を……?」
「仲間……? 未だにそんなこと言ってるんですか? おめでたい人ですね」
「は、はぁ……?!」
アルノは信じられない、といった様子だ。
そりゃ、そうだ。
「つまり、敵の内通者って」
「ああ、そこまでは気づいてたんですか。それは僕ですよ。このトリカ様の直属の部下、吊人兼用心金のレェスです」
そうだったのか。
てっきり新蜂の誰かの可能性が高いかと思ってたんだけど、レェスだったのか……。
「そんなことどうだっていい。そこのトリカってのもレェスも、倒してさっさと治安隊に突き出す!」
そう言ったアルノの武器を持つでは震えていた。
本当は自分の手で殺したいだろうに、そうしないと唯一生き残った仲間のガイールの無実を証明できないかもしれない。
そう考えた末に冷静な判断なんだろう。
「アルノ手伝うよ」
「ありがとう」
「でも、気を付けて。あいつら危険だから、捕まえるよりも殺すことを考えないとこっちが危険だよ」
「……わかった」
私たちはトリカとレェスに対峙する。
「ダメ。あなたたちじゃあいつらには勝てない」
しかしその間に入ってきた少女がいた。ノアちゃんだ。
「ノアちゃん?!」
「夜空も戦ってみて少しはわかったんじゃないの? 2人じゃあいつらには敵わないよ」
「うるさいよ! ガイールのファアニイの仇を取らないと!」
「そうだよ、少しはアルノの気持ちも……」
瞬間、ノアちゃんのいた周辺に粉塵があがり様子がわからなくなった。
「!?」
3秒後その煙の中から、レェスが飛び出してきて近くの家の壁に叩きつけられた。
そのレェスは気絶しているようだった。
「今の状況がそうやって、感情論で動いていい時だと思う?」
煙が引いていく中ノアちゃんが私たちに言った。
その周辺にはクレーターが出来ている。レェスと戦った跡の様だ。
「……それは……」
「夜空、あなたの役目は市民の避難誘導と魔獣の駆逐でしょ。こんなところで油売っていることじゃない。それじゃ、あいつらの思うつぼじゃない?」
「……ごめん」
ノアちゃんの説教されて目が覚めた。
ここにいてもノアちゃんの邪魔になるだけだ。
「アルノ、行こ」
「で、でも!」
アルノはファアニイの方を見た。
「……気持ちはわかるけど、後にしよう」
「……」
何も言わず頷いた。
私たちはリーフさんの体だけを抱え大樹へ急いだ。
この小説を書き始めたのが8/10なので、多分本日で投稿開始から半年です。
拙い文ではありますが自分なりに頑張って毎日投稿してみました。
ここまで読んでいただけた方、本当にありがとうございます。
初めましての方は、これから読んでいただけたら嬉しいです。
今後とも夜空とその仲間たちの冒険をお見守りいただけたら幸いです。
よろしくお願いいたします。