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第一次フラウロウ災戦 (9)

 トリカの頭から顎にかけつつつーっと血が流れている。

 さっき瓦礫に押しつぶされそうになったときにでも、頭を怪我したのだろう。


「あああ、気づかなかったぁ。ごめんねぇ」


 そういいながら自身の顎をぬぐった。

 トリカは手首に付着した血液を赤らめた恍惚とした表情で眺めていた。


「本当に血って綺麗。中でもトリカのものは一級品。ああ、ああ、ああ……!」


 そういってその血液の付いた手首を加え舐め始めた。じゅぽじゅぽと音が響く。


「はぁ、はぁ、美味しい。あ、ああ、あ、あ”! イギュッ!!」


 そういって今度は白目をむきながら身をよじらせ身震いをはじめた。


「……ぇぇ……?」


 私は恐怖と生理的嫌悪感を感じ、身動きが取れずにいた。


「お待たせしちゃってごめんねぇ」


 数秒身悶えしたトリカが私に話しかけていた。

 もう正直、本当に関わり合いになりたくない。


「今日たくさんの人の血を見たからさムラムラしちゃって。人に見せるオナニーもいいものだね」

「本当に! 気持ち悪い!」


 刀を振るう。

 しかし、どれだけ攻撃しても宙に浮かぶ葉を斬ろうとしているかのように躱され上手く切れない。


「ふーん、筋いいじゃんでも」


 鉈で刀で受け止められ、腹部に回し蹴りをされ吹き飛ばされた。

 重い……。

 意識を飛ばしそうだったがギリギリで耐え、トリカの方に武器を構えた。


「夜空ちゃん大丈夫?!」


 聞き覚えのある声がしてそちらを見るとアルノが馬で走ってきた。後ろにファアニイが乗っている。

 タイミングがいいのか悪いのか。


「ファアニイ! 回復魔法できたよね? リーフさん、お願いできる?」

「はぁ? なんで私が。っていうかお願いするなら、いい方ってもんがあるでしょ? ほらリピートアフターミー? ファアニイ様、どうかお願いいたします」


 こんのメスガキゃ……。


「ファアニイ、ボクからも頼むよぉ。お願い」

「はぁ、仕方ないなぁ」


 私が牽制している間にファアニイをリーフのとこにいかせる。

 しっかり回復魔法をかけ始めたことを確認した。


「へぇ、たくさんやってきたねぇ。まあ何人来たとこでトリカの敵じゃないんだけど」

「ねぇトリカ。せっかく関係者も揃ったことだし聞きたいんだけど。トルレンス夫妻を殺したのってあんたじゃないよね?」

「え?」


 アルノが驚いた顔をしている。

 

「ああ、あのつまらに男? なんでそう思うの?」

「単純に繋がりがあったのと、あの二人は大きな刃物で殺されてたって話だったから訊いたんだけど」

「へー。そうなんだ。まあトリカなんだけどね! きゃはははは!」


 ……やっぱり。

 別に確信があったわけでもなく勘だったんだけど、当たっちゃったよ。


「この町に潜入してたんだけどただの性行為だけじゃあ、もう欲求不満になっちゃってさ気づいたら殺しちゃってたぁ、ごめんねぇ、きゃはははは!」

「許さない!」

「あ! ちょ!」


 アルノが駆け出し、槍で攻撃する。

 ヒットアンドアウェイでアルノは攻撃を受けないようにしているが、逆にトリカもダメージを受けている様子はない。


「ふーん。この町の冒険者は楽しいね。次から次へとたくさんの戦法が見れて面白いよでも」


 アルノを蹴りで叩き落し、馬を投げて攻撃した。


「ぐ」


 そのせいで私のすぐ横にまで後退させられてしまった。


「でも、もうお遊びにも飽きてきちゃったねえ、レェス?」

「ああ、確かに」

「?!」


 その瞬間嫌な予感がした。

 そしてその正体の方に声を掛ける。


「ファアニイ! 危ない!」

「え? が?!」


 しかしそう警告した時には既に、レェスの短剣によってファアニイの喉を貫かれていたところだった。


次回以降も読んでいただけたら嬉しいです。

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