第一次フラウロウ災戦 (7)
「トリカちゃん……?」
「あ! えーっと夜空だっけ一年ぶりじゃん」
トルレンスさんと不倫をしていた相手の子。
確かに一年前にあったことがあるのだが、一瞬そうだとわからなかったのは、あの時とはちがってあまりにも邪悪な笑みを浮かべていたからだ。
「トリカちゃん何して……」
「あはっ。知らなかったんだっけじゃあ自己紹介したげる。トリカはグリンやライグと同組織正義の弾丸軍の幹部引き金のトリカよろしくね」
「?!」
トリカが敵組織?!
そもそもその名前だって初耳だし……。
「んじゃあね」
「は?! どこにいくつもり?!」
「トリカの今日の任務はできるだけ多くの人間を殺すこと。あんたと戦えば少々時間を取ってしまうことになる。だからじゃあね」
そういって何処かに跳びさってしまった。
「……。ごめん。誰か優しい人に見つけてもらって」
今はあの女を追いかけないと、もっと被害が拡大する。
故に座悪感がすごいが、一度赤ちゃんを道のわきに置き、私はトリカを追いかけた。
*
魔物の軍勢の真ん中に降り立つ。
何匹か巻き添えにした気がするがまあいいか。
「さーて。どうせ皆残らず消えるんだ。先に死にたい奴がいれば、前に出ろ」
4本すべて剣を外に出し、強化魔術も最大出力で使用済みだ。
「いない? ああ、そ。残念」
『ねえ、本当にやるの?』
俺の中にいる愛歌が訊いてきた。
「ああ、じゃあないと終わらせられない」
『あなたの精神が心配よ……』
「じゃあさっさと終わらせないとな。制御は任せたぞ」
『ああ、もう仕方ない』
体の中で闘気力を運用する・
「まずは準備運動……。黒化、10%!!」
身体能力をさらに底上げする。
「お前から、死ね」
一際でかい魔獣に剣四本を突き刺す。
そいつの所まで飛んでいき、頭部をもぎ取り別の魔獣に投げ、体を爆散させた。
剣を自身の周囲をぐるぐると回るように回転させ、さらに魔獣を狩り取っていく。
「|異界の黒門(ヨグ=ソトース・ゲート)、30%!!」
黒闘気力を練り上げて作り出した触手を背中から無数に出現させ、周囲の敵を自動で殲滅してゆく。
「神威、濁水流!」
近くにあった川に水闘気力を飛ばし、その水を操って、大量の水で魔獣たちを飲み込んでいく。
それらの攻撃を続けながら自身も拳や蹴りで敵を倒していく。
『ちょっと! いきなり飛ばし過ぎよ!?』
「とはいっても、さっさと片づけなきゃあ、いつまでも終わらねぇし、被害も増える一方だ。それに、黒闘気力の方は、水の方と違って燃費もそう悪くはないしな」
『そうだけど、あなたの身が持たないわ……』
んなもん、気合で何とかする!
『もう! それで死んだら殺すわよ!』
「そうならないように願いたいもんだな!」
俺たちは必至で魔獣たちの駆除をつづけた。
次回も読んでいただけたら嬉しいです。