第一次フラウロウ災戦 (6)
「ありがとうございました」
「いえ、後は大樹の中での誘導に従ってください」
「はい」
また一人大樹に人を送り中に入っていくのを確認してから、街の中に飛び出す。
そんな事をもう何十回も繰り返していた。
「はぁあああ!」
そして屋根の上を跳んでまわり、魔獣を倒しながら非難を遅れていたりする人を探す。
ある時は瓦礫の山の中から人を何とか引きずり出し、ある時は魔獣の群れに襲われていたところを救出し……。
洞窟と塔の攻略、ライグ戦、そして今強化魔術や回復魔法で魔力、気力はもうそこを突き始めている。
体力的にも疲労感が出てきていて、今にも倒れそうだ。
それでも私はこんなところで休んでいてはいけない、とある種の強迫観念にも似た感情で私は何とか動いていた。
この地獄は私が生んだものだ。
誰にされたかもわからない精神干渉。そんなものを受けなければ、強い精神力があれば、最初の白の提案を受け入れていれば……。もしかしたら少なくともここまでの地獄にはなっていなかったかもしれない。
だから、この地獄は私が生んでしまったものだ。
ならば償いのために、一人でも多くの命を救わなくては。
私が救わないとダメなんだ。
そうして探している間に火事の家を発見する。
その中に、魔力の反応がある気がした。人か魔獣がいるってことだ。
窓から飛び込んで中に入る。もうかなり火の手が進んでいた。とっさに口を袖で覆う。
魔力のする方のドアを蹴破る。
「誰かいますか?」
「! こっち! こっちです!」
声をたどり、部屋の奥に進んだ。タンスか柱のようなものの下敷きになっていた。
下には赤ちゃんを抱えている。
「今助けます!」
腕を強化し、それを持ちあげようとした。
「あっつ!」
じゅっという、嫌な音共に手のひらが焼けるのを感じた。
すぐに氷属性魔術で手を防護する。
そして瓦礫を何とかどかし、その2人を抱え脱出することに成功した。
「あ、ありがとうございました」
「いえ、大樹までご案内しま、す、ね……?」
話している最中、突如目の前にいた女性の頭部がぐらりと揺れた。
最初は自分が眩暈に襲われたのかと思ったのだが、違った。
次の瞬間女性の頭部が地面に落ち、首からは血が噴き出していたためだ。
「???!!!????!」
何が起こった。
私はただ助け出しただけで。
そう困惑している間に女性の体が倒れそうになる慌てて腕に抱えていた赤ちゃんを守った。
「きゃはは。うーん。この人もそんなにだったかな」
「はぁ?」
女性が立っていたところの真後ろにその女が立っていた。
手には地面に引きずるほど巨大な鉈を手にしていた。
「……トリカ、ちゃん……?」
それは見覚えのある女の子だった。
次回も読んでいただけたら嬉しいです。