第一次フラウロウ災戦 (5)
「あんた何なんだよ」
エルフの少女に問いを掛ける。
「先ほどから言っているように、この国の建国者のエルリフィじゃが?」
「……」
本当か?
いや、エルフで本当に自らエルリフィを名乗るような奴はいないだろうけど……。
「ふふ、納得言っておらん、といった顔じゃな。じゃが、今はそんな事を話している場合ではないのではないか?」
「……確かにな」
「うむ。この戦争が終わったら、そなたにも妾のことを話してやるぞ、超人」
「?!」
俺を超人って見抜いた?!
なんだこいつ。
「さてと」
エルリフィが腕を床に降る。
すると少しして、その部屋で倒れていた兵士やファアニイたちの体が回復し起き上がり始めた。
「回復魔法は妾の得意とするところでな」
なるほど、死んじゃいなければここまで瞬時に死神から受けた傷を……。
「現天帝よ」
「はい!」
「外の市民は大樹の地下に避難をさせておるそうじゃな?」
「は、はい」
「うむ。では、妾たちは全兵を連れて、そこの防衛にあたるとしよう」
「ぜ、全兵ですか?」
「そうじゃ」
ミファが少し悩んだようにしてから聞く。
「しかし、街中やの魔獣や、外の魔獣の軍勢はどういたしますか?」
「街中の魔獣は、えっとそこの兵士ではないそなたたち」
アルノを指して話す。
「そなたらはなんという職業なのじゃ?」
「ぼ、冒険者です」
「冒険者か。では冒険者たちに街中の魔獣の掃討はまかせればよかろう」
「外のは?」
俺が訊く。
「それはそなたに任せればよいのであろう?」
「……思考を読めるのか?」
なんでそうしようと思っていたことがバレた。
「いや、死神と手を抜いて戦っていたのは、外の魔獣を駆逐するための余力を残すため、ではないかと思っただけじゃ。妾は直感がちと鋭くての」
「ふーん。霊術の類か?」
「さあの?」
ちっ。つかみどころのない女だ。
「わかったよ、じゃあ行ってくる」
「うむ、検討を祈るぞ、超人」
「白だ」
自分の名前だけを教え、大樹の窓から飛び出した。
*
「んじゃ、私たちも行くよ、ファアニイ、レェス!」
「えー私もうくたくた」
ファアニイが面倒くさそうに漏らす。
「言ってる場合じゃないでしょ」
そう言いながらアルノは愛馬に跨った。
「じゃあ、せめて乗せてってよ。体力温存したいしさ」
「仕方ないな、早くして」
「あんがと。レェス、あんたは走ってね」
「……仕方ありませんね」
そういってファアニイたちもその部屋を出て行った。
次回も読んでいただけたら嬉しいです。