第一次フラウロウ災戦 (4)
窓に突如現れたのはエルフの少女だった。
ノアよりも少し大きいくらいの小柄な体。桜色の肌に、薄い金色のロングヘア。
見た目だけでは子どもの様であったが、その身に纏う覇気からただ物でないことがわかる。
「あんた誰だ?」
あーくっそ、警戒しなきゃいけない人間が一人増えちまった。
と思ったのだが。
「この気配……、まさか。本来の天帝か?!」
死神が急に焦った表情を見せる。
「! あ、そうだ! 確かに絵でみたエルリフィ様にそっくりだ!」
アルノもそう言った。
「ふむ。確かに妾はこの国の建国者エルリフィに相違ないのじゃが、天帝ではないぞ? 現天帝はそこの娘であろう?」
マジかよ?!
1200年間生まれの人がなんで生きてんだ。いや、まあノアとか4000越えてるけどさ。
じゃあ、今までどこに居たんだ?
「ちぃ。なぜ本物のエルリフィが」
そういって俺をそっちのけで死神がそちらに向かって構える。
少女は窓から飛び降り、軽く腕を振るった。
すると死神の足元から木が生えてきて、足を捕まえた。
「?!」
大鎌を振りって枝を折り拘束を解き、エルリフィに向かっていく。
しかしエルリフィがまた腕を振ると、魔術で作り出された風の槍が死神めがけて飛んで行った。
そしてそれが死神にあたり、左肩から先が吹き飛び地面に転がった。
エルリフィはたったの一歩も動かず、死神に手傷を負わせてしまったのだ。
「どうする? せっかくであるし、妾も久方ぶりに暴れてみる、というのもやぶさかでないのじゃが。正直状況を把握しきれていない身としては、面倒くささもあってのぉ」
「……」
死神は瞬時に損壊した部位を再生させていた。
「そこでじゃ」
エルリフィが石を放って投げた。
「そなたらの狙いはこれであったのだろう?」
契約の石とかってやつか?
あれ? あの石、どっかで見覚えが……。
「今日の所はこれで手を引いてくれんかのぉ」
ってかそれ渡しちまっていいのか?!
「キッヒヒヒ。噂に聞くように聡明な方だ。いいでしょう。私は身を引かせていただきます」
そういって死神はいつものように消えようとしていた。
「ああ、そうだ。外の魔獣などは私の管轄外ですので皆様でどうにかなさってください。それでは。キッヒッヒッヒッヒ」
相変わらず嫌な笑い方をする奴だと思った。
次回以降もよろしくお願いします。