第一次フラウロウ災戦 (1)
大鎌を弾くと、死神は自ら俺から距離を取った。
「おやおや。先ほどまで塔の方にいたと聞いていたのですがね」
……。
やっぱこの死神とライグのジジイはグルか。
「もう既にここにいるという事は、あなたのその水の力を全力で使用し飛んできた、ということでしょうか?」
「ああ」
「キッヒッヒッヒッヒ。ということは、私に対抗する力もあまり残っていないはずだ。キヒッ。あまり無理をなさらない方がいい」
「うるせぇな。てめぇを叩き斬る程度の余力は残してるっての」
「キッヒッヒ。相変わらず、威勢はいい」
まあ実際、ここにいたのが死神だったのはちょっとまずかったな。勝てる保証はない。
いや他の奴はこいつに対抗できないどころか、死ぬ可能性があったわけで結局俺が来るしかなかったんだが……。
「アルノ。天帝の守護は任せた」
「うん!」
これで1つ余計な事を気にしなくていい。
あとは、こいつを追い返せれば。
「で? そっちはどうなんだよ」
「といいますと?」
「いつもなんだかんだと理由をつけて逃げるじゃねぇか。今日は逃げなくていいのか?」
「いつもとは目的が違いますので」
「目的?」
そういやこいつ、なんでこんなとこにいやがるんだ?
いつもなら目立つ行動は避けてるだろ?
なぜ敵地の真ん中に……。
「白クン! コイツ、天帝様を殺すことが目的が目的なの! あとなんとかって宝物の石を奪うこと? らしくて」
「石ぃ?」
なんだって石ころなんか。
「契約の石です」
なんだそれ。
なんの契約だってんだよ? 余計わかんなくなったぞ。
「それはあいつに渡したらまずいのか?」
「……この世界そのものが終末を迎える可能性が高まるかもしれん」
天帝が答えた。
「そいつはヤバそうだな」
つまり、俺たち超人が止めなきゃいけない事態になる可能性が高まるってことだろ?
「今説明している時間はないってことだよな」
「うむ……」
「そうか。どこにあるかは?」
「知らぬのだ……」
「はあ?」
あー、わっけわかんないことだらけだな。
とにかく、今はこいつを倒しゃいいんだろ?
「じゃあ、覚悟しろよな!」
俺は死神に斬りかかる。
*
白がボロボロになっていく。
やはり先ほど死神が言っていた通り、力をほとんど使い切ってしまっているのかもしれない。
「……」
現天帝ミファは、戦闘能力をほぼ持たない。
その戦いを見ていることしかできない自分が情けなかった。
本当に自分が初代天帝エルリフィであったなら、きっとあの死神すらも一蹴できたのだろう。
「ぐっ! ちぃ!」
白の肩が大きく切り裂かれ、血が噴き出した。
「おやおや、口ほどにもない」
本当に、自分が許せなくなってくる。
「もう、やめてくれ……」
ミファは呟いた。
次回も読んでいただけたら嬉しいです。




