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ループする空洞

 人が並んで二人くらいが歩けるかどうか。

 そんな狭い空洞を1列に並んで歩いていく。

 なんていうか、私たちの足音や衣擦れの音しか聞こえない。本当に静かな空間だから、あまりにも静寂が強すぎて、なんか耳がおかしくなりそうだ。ほら耳鳴りまでしてきた。


「うーん、変だな」

「何が?」


 急に白が声を漏らす。


「いや、あまりにも長すぎないか?」

「え、そうなのかな」


 湖の畔からみた塔のあった場所はかなり遠くに見えた。


「このくらい歩くもんかなぁ、と思ったんだけど」

「いくら何でも長すぎじゃないか?」

「なに? もう疲れたの?」

「そうじゃないけどさ」

「もしかしたら気づかないレベルでゆっくりカーブを描いてる、とかって可能性もあるわね。ま、もう少し歩いてみましょう」


 そんな会話をして、歩いて行った。

 が、結構したころ、確かに私もおかしいと思い始めた。


「もうさっきの会話から一時間は歩いたよね」

「まあ、確実におかしいわね」

「だろ?」


 そういった白は剣を抜いた。

 

「え? 何するつもり?」

「じっ、けん、だっ!」


 そういって白が前方に剣を投げる。


「いや本当に何してるの?」

「言ってるだろ。実験だよ。この洞窟にどんな罠がかかってるのか」

「それでわかるの?」

「わからないかわかるかが今にわかる」

「は?」


 何言ってんの?


「ん? あ、そろそろだな。いったん頭下げといたほうがいいぞ」

「え? きゃっ?!」


 急に全身に鳥肌が立ち、しゃがむ。


 パシィッ!!!


 音を立てて背後から飛んできた剣を白が受け止めた。


「あっぶないなぁ!」


 あと少し遅かったら、上半身だけ地面に転がるとこだったよ。


「で、何かわかったの?」

「ループする通路ってのはいくつかのパターンが考えられる。例えば、ある地点から別空間に作った円形の部屋に迷い込ませぐるぐると回らせるタイプとか。とある地点から延々と似た通路を生み出し続け、ランニングマシンを歩くみたいに前に進むことができていないタイプとかな」


 魔法学での理論上そういうことができるよって話かな? それとも経験?


「で、今回は、前方に投げた剣が途中から消えて後ろに回った。だから点と点を繋げて、ループしているように見せかけているタイプの魔法だな」


 なるほど。


「ノアはどう思う? どうすれば抜け出せるか」

「白の言ってることが正しいなら思い付いたのは、そのループする地点のみに検出魔法を置いて、検出した対象によってループさせるかどうかを振り分ける魔法。簡単に仲間だけを通すことが可能になる」


 よく思い付くな。

 ノアちゃんも同じことができるのかな。


「で? そうだとして抜け出す方法は?」

「検出器に引っかからないように通り抜ける」

「簡単に言うな」


 それができたら今頃抜け出してるもんね。


「おし、やるか」

「え?」


 そう白が言って剣で壁を気づつけたと思ったらその後、急に手を握ってきた。


「ききき、きゅ、急に何?!」

「いや、水闘気で一気に駆け抜ける。2人にも流し込まないとな」


 見ると反対の手でノアちゃんの手を握っていた。

 愛歌はいつの間にか白の中に入っているのだろう。


「いくぞ」

「あーもう勝手にして!」


 ちょっと恥ずかしかった甲斐もあり、ループを抜け出すことが出来たのだった。

次回も読んでいただけたら嬉しいです。

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