ルトナ湖畔の洞窟
「あれが例の塔?」
「そう」
ノアちゃんが返事をした。
ルトナ湖の畔から遠く離れた先に、そびえ立つ塔が薄っすら見えている。
「この数日間あそこまで行く方法を探していたけど、どうやってもたどり着けなかった」
試した方法は、
・船で行く。
・水面を走って駆け抜ける。
・ノアちゃんの特性『主人への忠誠』を使い水闘気を借りて駆け抜けてみる。
・水中を潜って近づく。
・高く飛び上がって上空から近づく。
・いつもはじき返されるギリギリまで行き、バリアの解除を試みる。
・バリアの破壊を試みる。
・湖の底から穴を掘り、
などなど、思いつく限りの事はやってみたそうだ。
「ここまで鉄壁の防御があるという事はある程度の条件があるはず。つまり、どこか脆い点や穴が開いてる点がある、とか」
ノアちゃんがここまでの事を解説してくれる。
で。
「二人で調査して怪しいと思ったのがこの洞窟ってわけ」
愛歌が言った。話しながら少しあるいて、入った雑木林にあった。
この両極に有能なこの2人がいると本当に話が早くて助かるよ。
「なんでここだと思ったんだ?」
白が訊く。
「精霊の声が強い。こんな風に誰も入らなそうな洞窟の中で、近いうちに誰かが魔術を行使したことになる」
確かに街から少し離れたこんな雑木林の中の洞窟で、魔術なんて使うことそうそうないか。
離れたとはいえ、観光スポットの街があるいて10分ほどの所にあるし。
「んじゃ、まあ、潜入してみようか。」
私たちは中に入った。
5分後……。
「ごめん。あんなことの可能性があるなんて考慮できなかった……」
ノアちゃんがかなり凹んでいる。
中々そんな光景見ないからちょっとかわいい。
「町に近いとこだとそういうこともあるさ。気にすんな」
白が慰める。
何があったかっていうと、あそこは近所の子供たちのものであろう秘密基地だった。
魔術は魔霧が発生するより前に、基地の中で魔術の練習か、基地そのものの加工でもしていたのだろう。
「でも、もう一つの候補も自信ある」
「了解。そっちも見てみよう」
テンパってるノアちゃん可愛いなぁ。
なんて思いながら2時間ほど湖の畔を歩きその場所に着いた。
「ここは精霊の声はないけど、魔力の流れがある。どこかに通じてる可能性はあると踏んだ」
「了解、んじゃあ行ってみよう」
私たち四人は洞窟の中に入った。
次回も読んでいただけたら嬉しいです。