面会
私たちは薄暗い小さな小部屋で椅子に座っていた。
北側と南側にドアがソぞれ着いた部屋で、3つおかれた椅子以外には何もない部屋だ。
ちょうど真ん中を魔力の膜が仕切っている。私たちには見えず感じ取ることしかできないけど。
これを触ると私たちは弾き飛ばされ、またサイレンが鳴り警備員が入ってくる。
ここはフラウロウ内の留置所、その面会室だ。
そういえば愛歌はノアちゃんの方に帰った。
そしてその幕を挟んだ反対側のドアから入ってきたのは……。
「誰かと思ったらお前らか」
「何? 来てやったんだからありがたく思ったら?」
「はいはい、ありがとさん」
そう言いながら、留置されている人間とは思えない大きな態度でドカっと椅子に座った。
「で? 何しに来たんだ?」
「事件の話を危機に来たに決まってるでしょ。あんたやったの?」
「やってねぇって!」
ちょっと怒ったようにそういった。
「ああ、ごめん。ちょっと無神経だった」
ここまでもずっと疑われ続けていてストレスも溜まっているだろう。
あまりそういうのはやめておこう。
「で? 犯人に心当たりあるの?」
「まさか。あの夫婦とはあれ以降近づいてもいないんだぜ?」
まあ、そりゃあそうだろうけども。
「慰謝料払ってから全く関係も経ってたし、あの二人が別れてもなかったって初めて知ったんだぜ?」
うん、まあ、それはね?
正直私も驚いたよ? 人ってわからないよね。
「じゃあ、最近に変なことなかったのか?」
「変な事? そりゃあ、あの魔霧? とか言うのが発生してからは変な事ばかりだが」
「そういうことじゃない。聞いたのかわからないが、現場にはお前のものと思われる髪や指紋なんかがあったそうだ。つまりそれを取った奴がいるはずなんだ」
「あ、そうだよ。変な女とでも寝たんじゃないの?」
「ねえよ」
嘘ついてるんじゃあないよね?
「心音的にも嘘は言っていないな」
白が言った。
「嘘なんか言わねえって」
「わかってる。お前は隠すのが下手だからな。ついてもすぐばれるんだろ」
「お前が何を……、いや、まあそうだよ」
「見てりゃわかる」
そうだね。
ガサツさで隠れてるようにも見えるけど、色々と素直ではあるんだよ。
だから自分の欲求とかにも素直になるタイプなんだろうけど。
「あ、そういや、変な女がいたな」
「やっぱり……」
「いや、手は出してないんだ。15くらいに見えるガキだったからな。ガキには興味ねぇし」
いや、あんたの性癖はどうだっていいけど。
「そいつがどうしたんだよ」
「何度も話しかけてくんだよ。俺が干されてた間だってのに。うるせぇ、って言ってもしつこく食い下がったんだ。それくらいしか思い出せることないが」
「とりあえず、時間があればその女について調べてみよう。名前とかわかることは?」
白が訊いた。
「? 言ってもいいが……、なんでお前らが調査するんだ?」
「こいつや、俺らの知り合いに洗脳、暗示をかけた奴が街に潜んでる。わからんが、このタイミングでの殺人となると、繋がってる可能性は無きにしも非ずだろ?」
そう。私たちがガイールに話を聞きに来たのはそれが理由だ。
こいつもこいつで全く別のとこで恨みを買っている可能性はあるが、それでも今このタイミングだと少々疑わしくも思える。
ってなわけで、足掛かりになる可能性があるものは少しでも調査しておきたいのだ。
「そうかえーっとな」
ガイールが話始めた。
「そいつの名前は、トリカ、って言ったかな」
それはトルレンスが不倫をしていた女の子の名前だった。
次回も読んでいただけたら嬉しいです。




