三賢人とアルノ
タイトル付けるセンスが本当に壊滅的でどうにかしたいです。
図書館に行ってそれぞれのことについての本を探していた。
ロン・サヌラカについての記述はいくつか見つかった。
冒険者兼作家。
冒険者という文化を築いた偉人の一人。
冒険の中で見聞きしたことを絵本や小説を書いていた。
作詞し、作曲者への提供も行っていた。
しかし連続英雄失踪事件
とまあ、どこを見てもだいたいそんな事しか載っていなかったが。
他の人はさらにほとんど名前を見ない。
ただ、その中で興味深い単語を見た。
三王と三賢人。
この世界の三大国それぞれのトップと、それに仕える賢人と呼ばれる人をそれぞれそう呼ぶらしい。
フラエル皇国の場合はエルリフィとロン・サヌラカ。
今の天帝は親交があったらしいという事を言ってたし、もともとは相談役的な立ち位置だったのかもしれない。
その後失踪事件によって姿を消した……。
「何読んでるの?」
本を読んでいたらすぐ隣でそう声を掛けられた。
アルノだ。
「いや、ちょっと調べものを」
「ふーん。あ、婆様だ」
「え?」
そういって指をさした先は三賢人の一人、アバス・レインズの名があった。
クレルラル王国のあるトナクノイド大陸に住んでいるらしい。
「お婆さんなの?」
「あ、ごめん血縁関係じゃないよ? 近所に居たっていうか、そんな感じ」
いやいや。王に仕える三賢人の一人だよ?
そんな人が身近にいる?
「え、アルノって貴族の出だったりする?」
「いや、まさか」
うーんだよね。
そんな人が別の国のこんなとこで冒険者なんてやってないよね。
元皇族がお笑い芸人になって頻繁にドッキリ掛けられてる、くらいの不自然さだ。
「なんでそんなの知れべてるの?」
「暗黒期の勇者の知り合いだったらしくて」
「ふーん。あ、そうだ。いつか一緒にクレルラルに行くことがあったら、紹介してあげるよ」
「本当? ありがとう」
「もちろん」
「それで……。アルノは何してるの?」
「ボクたちも情報収集。読むのは本じゃなくてこれだけどね」
そう言って新聞を見せた。
「レェスが言うんだよ。足で情報を集めるのも重要だけど、人の集まる場所で情報を集めるのも重要じゃーないかってね」
それは一理ある、か。
「で、この大陸でもっとも人が集まっているこの町で、ボクとファアニイが残って情報収集。ファアニイは人気を使って、私は文字読むの好きだからそれで情報収集中。主に、魔霧が出る前からの新聞を遡って、変わったことは書いてないかなって」
なるほどね。
「言いだしっぺのレェスも残るってごねたんだけど、ずーっと高いとこに居なきゃいけないやつが、情報収集なんてできるわけないでしょ? だから、ガイールと町の外に行ってるよ」
「まあ、適材適所だよね」
高いとこにいれば、異変も見つけやすいだろうしね。
「あ、そろそろ集中室が開く時間だ。行ってくるね」
集中室はまあいってしまえば、ネカフェの個室みたいなものだ。
一時間半ごとの交代制でゆっくりと本を読める。そういう部屋がこの世界の図書館には用意されている。
まあネカフェにあるようなドリンクバーみたいなものがあるわけじゃないけどね。
「いってらっしゃい。頑張ってね」
「うん。お互いに」
それにしても、天帝でも所在がわかっていない人物との繋がりを持つ人をあっさりと見つけてしまったな。
ちょっとは調査がはかどるかも?
いや、魔霧の件が解決してからじゃあ、遅い気もするけど。
次回も読んでいただけたら嬉しいです。