暗黒期の勇者様
「内通者?」
天帝が到着し黄金鉱を全て渡した。その後、天帝とエーサさんを残し、他の人に退出してもらった。
そしてまた防音の結界を敷き、その話を天帝に共有した。
「ええ。実は……」
と、なぜその発想に至ったのかまでも話す。
「……なるほど」
天帝は少しの間考える。
「考え始めればキリがないな。そなたらだけでなく、相やエーサである可能性もあるわけだろう?」
「私は天帝様のいるほうにつきますので、天帝様を裏切ることはありません」
天帝の問いにえーさがそう答える。
「そなたらのその言葉すら、相等を混乱させるための言葉かもしれない」
「いや、それは……」
私たちがそうなら、わざわざそんなこというわけないでしょ。
「考えれば考えるほどわからなくなってくるという話だ。エーサ」
「はい。新蜂とそのお仲間について再度調べるよう、諜報部に依頼しておきますわ」
「ということで何かわかったことがあったらまた伝える。それまではあまりこの事を気にしすぎないように」
まあ、考えれば考えるほどに疑心暗鬼になっちゃうもんね。
「さてとせっかくの機会だ。そなたらにも聞いておきたいことがある」
天帝が改まって私たちを見てくる。
「そなたらは、超人、であっているな」
「あー、全員じゃないけど。なんで知ってるんだ?」
超人って存在そのものを知らない世界や国もあるそうだから、というかその方が当たり前な気がするけど、ちょっと驚いたね。
「暗黒期に現れた勇者。彼も超人だったのだ」
あー、まあ、予想はしてたけど。
「そなたらの事について調べているうちに、その素性に不可解なことが多すぎてな。大方、戸籍も偽造したのであろう」
「ああ、はは」
「どうする? 捕まえるか?」
「いや、黄金鉱と今後の活躍に期待し不問とするとしよう」
流石天帝様、寛大だね。
「だが、まだお互い知らないことがあるやもしれぬ。知っていることは今話してもらうぞ」
と言われ、これまでの旅で重要そうな出来事、知っていることについてお互い共有した。
「他知りたいことはあるか?」
「勇者様について教えてくれよ」
「暗黒期のか?」
「ああ」
天帝が少し黙る。
「残念ながら相はあまり面識がないのだ。そうだな……」
天帝が何やら紙に書いている。
「剣士ロン・サヌラカ、魔導狩人ネノ・クルト、賢者アバス・レインズ、刀鍛冶テンド・カーナ。それぞれ、勇者の仲間だったり、当時親交があった者だ。全員行方をくらましているため、紹介はできんが、足跡をたどれば何かわかるかもしれん」
それぞれの名前が書かれた紙を渡された。
ロン・サヌラカ、ネノ・クルト……、この2人、聞いたことあるな。
あ、そうだ。連続英雄失踪事件の被害者の中に名前があった気が……。
「詳しいことをわからなくてすまなかったな。ロンとは友達なのだが、今どうしているのかわからぬのだ。生きているかもな」
「まあ余裕があれば調べよう、ってとこだな。早いとこ魔霧をどうにかしないと」
「うむ。しばらくはそちらの調査を頼む」
そう言われその場はそれで終わった。
次回以降も読んでいただけたら嬉しいです。




