鉱山の街へ
フラウロウより川沿いを東に5日。そのまま川沿いを北上する事さらに5日。
途中までは葉車で進んでいたのだが、魔霧によって狂暴化した魔獣に何度か襲われた。
そうでなくても、魔霧の影響で気分が悪くなっている今、葉車の上でじっとしているのが正直辛い。
結局夜には葉車のメンテナンスが必要になったりするわけで、結果歩いた方が楽だということで3日目からは徒歩で向かっていた。
そしてそこから西にすすんでいくとすぐ、砂漠に出る。
この世界の可住域の中で2番目の広さを持つミスク砂漠だ。大体ゴビ砂漠の70%より少し大きいくらいかな。
そこを西に横断していった先に目的地、ミスクの街がある。
フラウロウからの直線距離で行くと合計4日くらいで着く距離にあるのだが、間にあまりにも高く険しい岩山の山脈があるため大回りをした方がむしろ楽なんだ。
ミスク砂漠は魔法で砂に埋もれないよう舗装された道が通っている。
そこを歩いていけばいいだけなので、景色が変わらずつまらなくはあるものの、森の中などいつ出てくるかわからない魔獣や山賊を警戒するよりも少し楽ではある。体調の管理さえしっかりできればだけど。
砂漠というだけあって昼は暑いし夜は寒い。しかし、そこら辺は色々と冒険者用の便利グッズが出回っているもので、どうにでもなる。
というわけで、砂漠に入ってからはまた葉車を使う事になった。
一つ問題があるとすれば、唯一危険な魔獣がいる事。これは夜中など止まって休んでいる時に警戒しなくてはいけない。
それというのが、砂鯨。
砂の中を泳ぎまわって生きる魔法生物……、魔獣。
今までは人を襲うなんてことはしなかったんだけど、魔霧の影響でね……。夜、同じ場所に留まっていたりすると、食べられそうになったりするもんだから大変だった。
普段この砂漠を超える際には道の途中宿場町的なのはあったりとかして、定期的に安全に魔法で守られた場所で休めるようになってはいるんだけど、今は大きな町に避難してしまっていたため、どこのも開いていないのがさらに、安全性の問題が深刻化していた。
そんな砂漠を越え何とかミスクの街に着いた頃、他のみんなはわからないけど私は心身ともに結構疲弊していた。
そんな大変な思いでついたミスクの街は鉱山都市兼温泉街として有名で、場所が場所だけに普通の人はあまり行きたがらないみたいだけど、冒険者の中では湯治や旅行の先として人気の場所だ。
前々から気になっていたから、こんな形とはいえ来れたのは結構嬉しかったりもした。
今回はセリフが一切ない話になってしまいました。
次回も読んでいただけたら嬉しいです。