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暗黒期の再来

「ここにいる皆ほどの力があれば、先ほどの空気の変化を感じ取れたと思う」

「ああ。気持ち悪いのなんのって仕方なかったぜ。あれはなんだ?」


 ガイールが言う。


「あれは魔霧、と暗黒期に呼ばれていたものだ」

「暗黒期に?」


 災霜と名前が違うけど同じものを指してるー、んだよね?

 災霜はきっとノアちゃんがいた魔界での呼称で、ここでの呼称が魔霧かな。


「そう暗黒期にはこれが世界中を覆っていた。あの魔王によってな」

「つまり、今はその時と似ているってことか」

「そういうことだ」


 白の言葉にさらに天帝が続けた。


「今街を覆っているバリアは、当時の技術で作られたものだ。街の魔霧を吸収し、その力を外界からの侵入や攻撃に対する防御に転換している。あまりに突然の事だったので、起動に時間がかかってしまった」


 なるほど、だからあれが展開されたとき、少し気分が楽になったのか。


「じゃ、じゃあ、魔王が復活した、ということなの?!」


 ファアニイが言う。


「わからぬ。その可能性もあれば、別の何物かが模倣している可能性もある。そこの白というものが言っていた、"死神の札"の上にある組織の可能性もあるしな。まずは状況を調査しなければならないわけなのだが」


 急にこんなんになったんだから、わからないよね。

 まあ、あの死神がいる組織の可能性が高いだろうけども。


「前の時の魔霧は普段大人しい魔獣すらも狂暴に変えてしまう性質がある。まずは全国各地の人々を同じバリア発生装置が設置されている街に避難させ、各街の防御を固めなくてはならない」

「なるほど」


 リーフさんが口を開く。


「フラエル皇国の兵はそちらに回さざるを得ない。故に我々に調査を依頼したい、とそういうわけですね」

「それもそうだが、それだけではないのだ」

「え?」

「まず、バリアを発生させる装置。これが古いものであるためか、少々の劣化が見られる。起動には問題ないが、いつ壊れてしまうかわからん。専門の技術者に修理は任せているが、希少な鉱物を使っているために、思ったように進んでおらん」

「各地の街でも同じように必要って考えたら相当な量になるな」

「そう、それを取ってきてもらいたい、というのもある」


 他にも皇国兵と住民避難の手伝いするパーティが必要だ。とのこと。

 街の外での調査はどうしても冒険者の方が慣れているからね。


「では、皇国兵の手伝いは僕らに任せてもらおうか。人数が多いから適任だろう?」


 ノールが言った。

 

「じゃあ、調査の方は俺たちだな」

「なんで?」


 ガイールの言葉にファアニイが訊く。


「歴が長いからな。各地に知り合いが多いし、調査が進みやすい」

「干されてんのに、協力してくれるかな」


 苦笑いしながらファアニイが揶揄(からか)う。


「昔からの友人だっているんだ。大丈夫だろ」

「それでしたら、私どもも」


 リーフさんが手を挙げる。


「各地のエルフとは親交があります。とはいっても、天帝様の使いといえばエルフはみな協力するでしょうが、それでも集落の場所などはわかりますし」

「ってことは、俺らは石拾いか」

「その言い方どうにかならない?」


 でも必然的にそうなるよね。


「ではすまぬな。頼んだ」


 そして私たちはそれぞれバラバラに動き出したのだった。

次回も読んでいただけたら嬉しいです。

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