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水路と大樹と自由の町(2)

 街並みに目を移す。

 石と木組みの家と緑色の粘土の様なもので作られた家が存在している。

 木組みの家は床が少し高くなっており、粘土の方は外に階段が付いており2階から家に入る物が多い。


「多分水害対策じゃないかしら。今は魔法学の進化と地脈の安定化でそういったこともほぼなくなったそうだけど、天帝即位前は水害が多かったそうなのよ」

「立地的にも仕方なさそうだよね」


 どこの世界でも自然災害は頭の痛い問題なのだろう。

 あまり高い建物はない。

 この街では、三階建て以上の建物は公共のもの以外立ててはならないという法律がある。大樹をより神聖に魅せるためなのだそうだ。


 愛歌さんについていき列車に一駅分乗った後、運河の中の葉っぱの小舟、ウェインテインに乗り込んだ。

 観光者気分で町を見渡し川を運ばれる中、愛歌さんからこの町についての説明を受ける。


 この国は天帝エルリフィによる独裁国家。

 でも自由の国を謳っていて、敷かれる法律も全ての人が自由を享受できるようにするために縛る役割のものが多い。

 そんなこの国の中でここ100年、1つの文化が急速に発展した。


「それが冒険者」

「ああ、昨日言ってたやつね」

「そ。基本的に冒険者はどこでも依頼を受けられるの。報酬なんかも直接交渉するわ」


 フリーで活動するのが普通なんだって言ってたわね。


「一応ブローカーっていうのもあって、受けた依頼やクエストを記録する冒険者手帳っていう物もあるの。はい、これ夜空ちゃんの。これ白のね」

「おお、サンキュー」


 そう言って、手帳を渡された。


「ブローカーって何してんの?」

「基本的には急ぎでなかったり、冒険者に直接交渉するのが嫌な人の依頼を一度預かり、冒険者に斡旋してるみたい。ただ斡旋料を報酬から引かれるから、仕事が来ない無名冒険者が利用するみたいだけれどね」


 他にも普通に受けた依頼の報酬だけを預けて受け渡しのトラブルを避けるのに使うこともある。

 その際は、依頼人がブローカーに料金を渡すことが多いらしい。


「依頼とクエストの違いは?」


 ゲームとかだとほぼ同じ意味だと思うんだけど。


「依頼は特定のパーティにのみ依頼する物。クエストは主に国や法人が、不特定多数の人に出す物。何かをできるだけ多く採取してきて、その採取数に応じて報酬貰う、みたいな」

「なるほど」


 船から降りて更に街を歩いていく。

 愛歌さんが大通り沿いの家を指さした。


「あそこが私たちの下宿先だよ」


 愛歌さんが指さしているのは、比較的大きめの建物だった。

 種類としてはクリーム色の壁の建物。


「近くに商店街も広めの酒場もあって、精霊の大樹にもあまり遠くない、っていう好立地なんだ。いいでしょ?」

「酒場、って私未成年だけど……」

「あ、関係ない関係ない。依頼主と冒険者、その交流の場所が酒場なんだ。冒険者は酒場で依頼人を待ち、依頼人はそこにいる冒険者から依頼する相手を選ぶ」


 はあ……。

 うーん、なんかゲームとかと違うから慣れるまで時間かかるかもだけど、まあ、郷に入っては郷に従えっていうしね。

 そんな話をしながら私たちの下宿先に入った。

 その家は立地にも拘わらず、3LDKという広さ。下宿というかもうほぼ賃貸だろうと思った。

 ってなわけで私たちは、この家を拠点に動くことになった。

次回も読んでいただけたら嬉しいです。

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