仲間たちの帰還
訓練を初めて11日経った朝。
目が覚め朝の支度を簡単に済ませ廊下に出ると、人の気配が少し多く感じた。
「あ、ノアちゃん! えーっと、久しぶり?」
「ん」
リビングではノアちゃんが本を読んでいた。
「さすが超人だね。この数日だけで随分と戦闘力が向上している」
「え、そうかな」
まあ最後の数日の殆どは白と木刀で実戦形式で訓練していたからね。
ほぼ一方的にやられていただけとはいえ、魔力霊力気力の扱いや立ち回りは慣れてきたし、筋力も多少はついたとは思う。
そういった意味でも、少しは変わったのかな……?
「とはいえ、気を抜けば死ぬだろうから、あまり白の手を煩わせないように」
「……」
そう忠告だけして、また本の方に目を移していた。
「この世界は2つの大陸と1つの大群島からなる3つの州でできているの」
ラウンドテーブルにその上に何やら丸い機体を浮かべていた。
そして、大きな地図を空中に映し出している。
「私たちがいるのは、ここ。南の大陸」
愛歌さんが指さす大陸の中心より少し南の平原に赤い点がポイントされる。
「ここら辺りは南寄りだから過ごしやすい気候なんだけど、基本的にこの州は常夏として知られているの」
うへぇ。ここら辺でも結構暑い日あったんだけど。
ってことはもっとあっついとこにも行くことになるってことだよね……。
「そしてここはウィンダルフ州。ここのほぼ全域を治めているのがフラエル皇国」
「こ、この広いエリアを1つの国家が治めてんのか……?」
白が困惑しながらドン引きしている姿をここにきて初めて見た。
私はこの世界に来てから私はずっとそんな感じだったけど。
でも……。
「私地理苦手だからわかんないんだけど、どれくらい広いの?」
縮尺とかわからないから、ピンとこない。
「そうねー、属国に近い扱いの地域も含めると、だいたいモンゴル帝国に匹敵するわね」
「はい?」
モンゴル帝国っていえば史上、大英帝国に次いで2番目に広い領土を支配していた帝国のはずだ。
「びっくりよねぇ。しかも建国から1200年ってかなり歴史のある国だからね」
「1200年って……」
「私たちの世界でもここまで歴史のある国は日本くらいね」
ほへぇ。すごいなぁ。
「何か秘密があるとするなら……、この国実はエルフが治めている国なのよ」
「エルフ!」
ファンタジー好きとしてはテンション上がるね!
「そう。エルフたちの長にして、フラエル皇国の天帝エルリフィが建国以来、統治し続けているそうよ」
「ええ、1200年も?! やっぱりエルフって長命なんだね」
「ううん。いや、長命であることには変わりはないのだけど、それでもこの世界のエルフの寿命はせいぜい300歳くらいらしいのよ」
ありゃ。
アニメとかでもエルフの寿命って色々と設定あるけど、割りと現実的なライン……、なんて思ってしまった。300歳っていえば江戸時代より長命なのにね。
「で、とりあえず、そのフラエル皇国中央都市に行こうと思うわ。ここから一番近いしね」
文化的にも治安的にもとてもいい街だったと、お土産と共に感想を聞いた。
私たちはそれからその町を目指すことになったのだった。
次回も読んでいただけたら嬉しいです。