表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
132/413

三日目・四日目:霊術基礎論

「い"っっったいっ!」


 すねを何かにぶつけたみたいだ。

 その場でうずくまる。


 ゴチン!

 

 しかし頭を下げた時、又しても何かに頭をぶつけたらしい。


「ーーーーーっ!!」


 声にならない悲鳴をあげ、痛みが引くのをじっくり待つ。

 魔術のトレーニングの翌日、私は日中の殆どをまた同じく魔術の練習に使った。そして余った時間で、霊術について勉強した。

 そして今日、朝から目隠しを付けて生活していた。


霊力(スピリナ)を感じるトレーニングだ。今日一日はそれで生活してみてくれ。朝飯は外に用意してあるから」


 と白に朝食後に言われて、目隠しされていたのだ。

 そしてテントから出ようとしたとたんすねにローテーブルか何かをぶつけたみたいだ。


 痛みが引くのを待ちながら、白が言っていた事を思い出す。

 霊力とは大気中にのみ存在する神秘の力。

 魔力は魔法学的にその性質や理論がわかっている。しかし霊力はわかっていないことが多いらしい。

 わかっていることは生物に力を与える、ということ。生物の進化も霊力が関わっていると考えられている。学者によっては、意思すら持っているのではないかとされているらしい。

 

 何それ。

 それが未だに持っている正直な感想だ。

 けどそれは魔力に対しても同じ。体内にある未だに得体の知れない物質だ。

 ならまずはやってみることから始めよう。


 今私が身につけてほしいと言われているのは霊術の中でも空間把握能力の強化と第六感による危機察知。それぞれ霊視覚と霊共感という名がついている。

 霊視覚では霊力の力を借りることで、自身の周囲を把握する能力だ。うまくやれば死角を完全になくすことができる。ただ、その見え方はひとそれぞれ異なるみたい。

 例えば白の場合はTPSのキャラクターを捜査しているような感じで、愛歌さんに至っては、断続的に周囲を3Ⅾスキャンし続けてそれを脳内で再構築している感じ。

 ノアちゃんは……、とある理由から霊共感能力を失っているため、使用ができないらしい。

 霊共感は霊力とつながることで身の危険が迫ってくるさいなどに、それを知らせてくれるという便利な能力。それらが戦闘などでは大きく役立つらしい。


 そんな教えてもらったことを思い出す。

 想像する。目を見えなくしても周りの状態がわかるようになる自分を。危険を未然にキャッチする自分を

 そして歩いてみる。

 5歩歩いたところで、その先に何か物があるのを感じた。

 

(お、これかな? この感じか!)


 簡単に掴めた。

 何だ楽勝じゃん、なんて思っていた。


「いや、まあ、それでもいいんだけど、夜空?」

「なに?」

「それ、魔術だ」


 へ?


「一回目隠し外してみて」


 外す。

 私の身体全体が薄黄色に光っていた。

 その光がソファーにぶつかっていたのだ。


「そんな魔術を作るのは才能ある証拠だけど、今はちょっと違うかな」

「そっか……」


 魔術を解いてもう一度目隠しをする。


 霊力は空気中にある。

 それを上手く感じ取らないといけないのかな。

 体外にある物を感じなきゃいけないんだよね。

 想像をしちゃうと魔術が発動しちゃう。だから他の方法で習得しないといけないんだよね。


「……仕方ない」


 上着を脱いで、インナーだけになる。全身タイツみたいになってるやつだからちょっと恥ずかしいけど……、まあ幼馴染相手だし今更でしょ。

 深呼吸して肌で感じる空気を意識する。

 そしてまた歩き始める。


 朝食を終えるまでだけで散々な目に遭い続けた。

 その後は私だけ目隠しした状態で竹刀を握り、白の攻撃を受け続けるという、元の世界なら体罰かパワハラか、もしくはただの暴行罪で捕まりそうな荒修行をさせられた。

 ただ、その甲斐あって、霊視覚と霊共感の2つは何とか習得することができたのだった。

次回も読んでいただけたら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ