無口な女の子
白に自分の部屋を案内され、そこで休息を取っていたんだけど落ち着かず散歩でもしようかと下手のドアを開けた。
「あ、えっと、ノアちゃん、だっけ?」
「ん」
さっきの美少女が隣の部屋に入ろうとしていた。
「えっと、そこがノアちゃんの部屋?」
「そう」
感情のない声で返事をされる。
そうだ。
「あのさ。少しお話ししない? ほら、これから仲間? になるんでしょ」
「好きにして」
それだけいって部屋の中に入っていった。
けどドアを閉めないところをみると、どうやら入っていいのかな。
静かにその部屋に入り、ドアを閉めた。
そこでは椅子に座ったノアちゃんが、剣を磨いていた。
「うわぁ……」
その剣は超絶美少女であるノアちゃんに負けない、とても美しい剣だった。
「綺麗な剣だね」
「ん」
「ノアちゃんのものなの?」
「正確には、違う。現在の所有者であるというだけ」
「へ?」
えーっと?
「どういうこと?」
「……」
一瞬動きを止めたノアちゃんが話を続ける。
「これは私の国に伝わっていた神秘の剣。銘を『ウェノニミシア』。英雄ルーナ・ウェノニミスが使用していたと言われていた。既に私の国は滅びたから唯一の生き残りである私が使っている」
国が滅びてる……?
あ、そっか戦争があったとか言ってたっけ。もしかしてそのせいで……?
「そっか。それは気の毒だったね……」
「そうでもない。思い出なんてほとんど残っていないし、今は白がいる」
「白?」
「そう。白が私の全て。私は白のために生きている」
「……」
物凄いセリフを聞いた、と思った。
ただ、これは女の勘だけど、その言葉に恋愛感情は全く感じなかった。騎士や武士が主人に忠誠を誓う者のそれだ。
何があれば人にここまで言わせることができるのか。こんなに人を信用することができるのか。
まあ当たり前の話かもだけど、どうやら白は私のしっている白からかなり変わっているようだ。成長している、ともいえるのかもしれない。
「まあ何でもいいけど」
作業を終えたらしいノアちゃんが立ち上がりながら口を開く。
「あなたが白の味方でいるうちは私もあなたの味方でいてあげる。でもそうでなくなったとき、私は容赦なくあなたを殺すから。それだけは覚えておいて」
「……うん」
まあそんなことありえないとは思うけど、ちょっぴり怖いなぁ……。
次回も読んでいただけたら嬉しいです。