もう一度あなたに触れたいと願ったから
「あ、そうだ。名前は?」
その女性の名前を、まだ聞いていなかったことを思い出して聞いた。
私の名前を知ってたのは白から聞いたんだろう。
「世利長愛歌」
「そっか。よろし……、く……、え?」
セリナガ? 今、セリナガって言った?
そういる苗字じゃないし……、私の感が正しければ……。
「セリナガって、セリナガ社の?」
「……。はぁ、名前が独特なのも考え物ね」
「え、じゃあ、マジでマジのお嬢様の……」
世界的に有名なセリナガ社。
確か4月ごろにそこの社長と跡取り娘が同日に亡くなった。
セリナガ社の事も2人の事もよくは知らなかったけど、株価が大変動したりとかで、なんかニュースとかでも大騒ぎだったことだけは覚えている。
「あはは。死んでお金もないのにお嬢様とかないよ」
「で、でも亡くなったって……」
「うん。死んでるよ」
普通に言った。
「自分自身をAIにしたの。白から教わった魔法の技術をつかって魂の情報まで全てね」
そんなことある?
ってか魔法ってサラッと言ったけど……。
あー、いいや。さっきも言われた通り今理解できる自信ないから。
「で、その状態でさっき白と一緒にこの世界に渡ってきたわけだけど」
「?」
「その時、死んでいるのに魂も意思もあるっている矛盾がよくわからない方向に働いて、半分幽霊みたいな状態になっちゃったってわけ。私もまだよくわかってないよ」
「ええ……」
ってかやっぱ幽霊なんじゃん。
「ふふふっ。今日も世界は不思議だらけね」
そういう愛歌さんは楽しそうだった。
「おっと、白によばれちゃった。それじゃ」
「え? ちょ」
そういった愛歌さんはその場からパッと消えてしまった。
と思ったらまた光の玉が現れて愛歌さんの姿になった。
「あ、そうだ。用意した服の着方ちょっと特殊なんだった」
「え? えええ?!」
そういってまた光の玉になって私の体を通り抜けた。
その瞬間、自分の知らない服の着用の方法が頭の中に流れ込んできた。
「な、なにこれ」
「私の能力らしいの。情報のコピペ。下手すると脳が壊れたりバグったりしちゃうんだと思うけど、上手くいってよかった」
は? ちょっと?! 今とんでもないこと言わなかった?
「それじゃ、また後でね」
そういって消えてしまった。
「……。えぇええ」
なんていうか、美人さんだったんだけど、変な人だったなと思った。
次回も読んでいただけたら嬉しいです。