体の透けた女の子
「ふぅ……」
汗と血液をシャワーで洗い流し湯船に浸かった。
湯船と言っても人一人分の大きさではなく、小さめだが浴場とかっていえるようなサイズはある。
つまり数人から数十人は同時に浸かれる大きさってこと。
なんか広すぎてくつろげているのかどうか、自分でもわからない。
「なーんか色々あったなぁ……」
白と再会してからまだ1時間も経っていないってのに……。
何があったっけ。一度ちゃんと思い出そう。
えーっと、死んだと思ってた白からの連絡で再会して、ちょっと話してたら急激に体調が悪くなって、気づけばどこかもわからない場所にいて。
んで獣に追っかけられて、死にかけて、と思ったら白に助けられて、お風呂に入ろうと思ったら超絶美少女にであって……。
あれ? こんなもんだっけ。言葉にすると薄いな。
「はぁ……」
それでも一つ一つの出来事は濃すぎる。
頭が痛い。
「そういえばさっきの子の名前聞き忘れちゃったな」
「ん? 私以外の女の子? だったらノアちゃんかな」
「ノアちゃんか。かわいい名前……、……だ、だれ?!」
入口の方を見ると、またさっきの子とは別の女性がこの浴室に入ってきた。
「あなたの着替え、持ってきたの。せっかくだし一緒に入ろうかなと思って。隣いい?」
女性は軽くお湯で身体を流したあと、そう訊いてきた。
「いいけど……」
「それじゃ失礼します」
そういって私のすぐ隣に座った。
「……」
また綺麗な人だな。さっきの子が"可愛い"の究極だとしたら、こちらの人は"美形"という言葉が似合うと思う。でも少々のあどけなさも残していて、可愛らしさもある。
煌びやかでサラサラな金髪に、エメラルドグリーンの瞳。
身長は高い。そして肋骨が薄く浮き出てる。とはいえガリガリとまではいかず健康的な体つきだ。
何もかも負けている、なんて思うほどに完璧に見えるが、まあ敢えて一つ勝ってる点上げられるとすれば……、胸、かな……。
多分だけど、さっきの女の子より無いかも……?
「何か失礼なこと考えてない?」
「え? いやその……」
急にそう声かけられて、どうしようかと思っていた時あることに気づく。
「っ?!」
その事に気づいた瞬間、少し驚いて体を震わせてしまった。
「え?! あんたなに?! 幽霊?!」
その女の子の体がほんの少し透けて見えたからだ。
「失礼ね。半霊よ、半霊」
「えーっと」
何が違うんでしょう?
「色々驚くことも多いだろうけど、今説明しても頭パンクしちゃうでしょう? きっと」
「うっ、否定できない」
元から頭はよくないし。
「じゃあさ、ここには何人人がいるの?」
「さっきのノアちゃんと、白、それと私と夜空ちゃん。四人ね」
「へぇ」
こーんな美女と美少女に挟まれて……、あいつ、いいご身分だコト。
どちらが悪いってことじゃないけどさ、一年前、白の告白をフって別れたこと負い目に感じてたんだけどな。言い方とかもう少しあったかなとか。再会する時もちょっとばかし緊張したりしてたのにさ。
次回も読んでいただけたら嬉しいです。