カフェでの再会(2)
12月に入りましたね。
僕は寒いのが嫌いなので、これからの日々を思うと憂鬱です。
いったん、心の中で白の話を全て信じることにした。
「まあいいや。それで? 今日は何の用?」
「うん。用っていうか、とりあえず、会う事自体が目的、っていうか」
「……?」
「えーっと……」
白が左腕の時計らしきものを起動する。
「愛歌? あと何分?」
『想定より遅れてるわね。あと2分くらいじゃない?』
「え、だれ?」
かわいい声だったんだけど。
「ほら、ヒーローにはオペレーターが必要だろ?」
ほら、と言われましても。
「で、その2分後に何かするの? それとも何か起こるの?」
「うん、まあ」
「……」
「……」
え、呼んだのあんたでしょう。何か話してよ。
「で、何があんの?」
「多分、今説明しても信じないと思うから、ちょっと待ってて欲しい」
「えぇ……」
正直ここまでの話も信じられてないんですけど?
「あ、でも、これだけは伝えとくか。これから何がどうなったとしても、その場を動かないでいてくれ。もしそれで命に危険が及ぶような時は、大声を出してくれればなんとかできるとは思う」
急に怖いこと言うじゃん。
何に巻き込まれるの? ミサイルでも飛んでくるわけ?
「じゃあ、聞かせてよ」
「ん?」
「なんでヒーローなんてやってんの?」
「なんでって、あー。まぁ、暇つぶしからなし崩し的に」
「えぇ……」
本気で言ってるのかな? そんなヒーローいます?
だってそれで親、殺されてんだよ?
「で、一年前私を助けてくれたのもあなただったってことだよね?」
鎌をかける。
「え、いや、助けたっていうか、話聞いただけだけど……」
「うん……、正解……」
1年前、ちょっと色々あった時、そのヒーロー、ノクティルーカと話した事があった。
家出を決意できたのも、今の生活をすることができているのも、その出来事のおかげ。
それを知っているって事は白は本当に……?
「お待たせしました」
「あ、ありがとうございます」
頭を整理しながら運ばれてきたカフェオレを受け取る。
そしてそれを口にしたとき……。
「っ!」
ガタンッ! ガシャン!
急にめまいと吐き気に襲われた。その次に感じたのは熱さ。まるで心臓から流れ出てくるものが血ではなく溶岩にでも変わってしまったかのような湧き出てくるような熱さ。
たまらずその場に倒れこんでしまう。
「なに……、これ」
苦しい。他に何も考えられなくなる。
その場にもがき苦しんでいることしかできなかったが、ある時を境に急にそれらが引いて行った。
いやむしろ逆に、清々しいような心地よさが全身を覆っていた。
「何だったんだろ今の……。えっ?」
そう思って顔を上げると白がいなかった。
いない、とかって話じゃない。
「ここ、どこ?」
気づいた時私は、知らない森の中にいた。
次回も読んでいただけたら嬉しいです。