第10話:新蜂VS死神の札(8)
(っ! まずい!)
"世界"が死んだことによるその焦りはその場に残った全ての疑似超人の抱いたものだ。
死神の札のメンバーたちはそれぞれと念話ができる。
白と戦いながらも世界は能力でメンバーそれぞれをテレポートさせ続けていた。
しかし、白に倒されてしまったことでその支援も受けられなくなった。
そして……。
ドンっ!
"審判"の腕とイヴィの蹴りがぶつかった衝撃が周囲に走る。
その審判も焦っていた一人だ。
もう逃げられることが無くなったとわかり、真っ先にすっ飛んできた。
格闘の腕なら五分。しかし審判からの攻撃がほとんど意味をなさないのでは話が変わる。
蹴りを受けとめられたイヴィは一度地面に手を付け、体を押し上げる勢いを使い顎に向けて蹴り上げる。
勢いそのままに飛び上がり、空中からまるで踏みつけるような蹴りの連撃を審判に浴びせる。
「くっ!」
イヴィが地面に着いたところを狙い、素早い内回し蹴りえお審判が放つ。
が……。
ガンっ!
またこれだ……、と審判が舌打ちする。
その蹴りの足の先にはノールがいた。
大剣で攻撃を阻まれる。
その後大剣による2、3の攻撃をされたのちまた消えた。
そしてその後ろから……。
「ドレイン!」
長い爪を突き立てたイヴィの右手が飛んでくる。
「なっ?!」
今までイヴィは蹴りの攻撃しかしてこなかった。故にそれしか注意していなかったことが要因だ。
「ぐがが……」
吸血鬼の能力を持ったイヴィのドレインを使い審判のエネルギーを排出させ、イヴィが吸収する。
「不味」
しかし体に合わず体から吐き出した。
そこには干乾びた体になった審判の死体があった。
*
「ぎゃはははは!」
イヴィの姉リーフVS愚者の戦いも決着がつきそうになっていた
「世界が死んだ! ぎゃはははは! 能力は買ってたが正直気に食わなかったんだよなぁ!! ぎゃはははは!」
「本当に。優美さの欠片もない、下品な笑い方ですのね」
ついに逃げられなくなったのを好機と、リーフは茨の魔術で愚者を拘束し絞め殺そうとした。
「痛ぇ。痛えっ!! ぎゃははははっ!!」
人の腕ほどにまで成長した茨も、笑いで強化された愚者がそれを破りリーフに近づいてくる。
しかしリーフは佇んだままで動くことはなかった。
なぜなら!
「本当に邪魔してくるのかよ」
今度はつまらなそうにつぶやいた愚者の前にノールが現れていた。
少しの間ノールが戦闘する間、有翼人の力を借りたリーフは右脚を鳥の脚に、量の腕を翼に変える。
「優雅さに欠ける戦法ですので、あまり使いたくはなかったのですが」
ノールが消えるとともに鳥の脚で愚者を掴む。
ギャーギャーと笑いながら無理に開こうとしてくるが、無視してそのまま上空へ飛び上がった。
そして落下し、地面に叩きつけた。
何度も乱高下してそれを繰り返しているうちに、愚者は気づけば動かなくなっていた。
「偶には優雅さを捨ててみるのも悪くはありませんわね」
体を元に戻し、長い髪を梳きながらリーフは微笑んだ。
―――世利長愛歌の記憶領域:file.20【新蜂の戦力順】―――
思い付いたからなんとなく書いてみるわね。
とはいえあくまで数値上のもので、実際にお互いが戦ったら結果は変わってくるとは思うわ。
ただ作者が現在の所どれくらいの戦闘力の差があるつもりで書いているのか、という今更ながらの参考になればと思ってね。
白 > 夜空 ≧ アルノ > イヴィ ≧ ノール ≧ リーフ > シンビィ ≧ ファアニイ
次回も読んでいただけたら嬉しいです。