翌朝。
遅れてすみません。
結局ベッドに入ったのは1時になる5分前くらいでギリギリだった。ログアウトした後に歯を磨くために下に降りたときに、半分キレかけていた親と遭遇したときは思わず飛び上がってしまった。その様子を見ていた兄は苦笑いをしていた。
「さてと、今日も頑張りますかあ。」
あくびをしながらどうにか体を動かして、制服に着替えて下に朝食を摂りに行った。
「おはよう。」
「おはよう。」
兄が先に朝食を食べていた。
「あれ、試験終わったんだから大学休みじゃないの。」
「実習があるんだよ。集中講義も何単位かとっているから、あと1,2週間は忙しいさ。」
「それはそれは。」
「といっても、講義の時間はいつもよりは遅めさ。さっさと朝食済ませろよ、皿洗わないといけないんだから。」
「ウイー。」
兄は席を立つと流し台に食器を持って行った。
「ちび助起こしてくる。」
「うーす。」
すでについであった朝食を摂り、歯を磨いて部屋に戻った。入れ違いで弟が朝食を食べに降りてきた。
「急げよ。もう8時過ぎてるから。」
「うん。」
提出物を確認して、家を出た。
「行ってきます。」
歩いて10数分のところに学校がある。夏や冬はこの時間がなかなか辛いため、自転車通学をしたいが距離が近いという理由で却下されている。この間3回目の申請をしたばかりだ。教師陣もなかなか折れてくれないのである。7月に入って梅雨も明けて熱くなってきており、中々に辛いのである。
「おはよう、境。」
「ああ、夕夜か。」
「なにさ。人がわざわざ声かけてあげてるのにさ。」
「暑くてきついんだよ。俺が熱いの苦手なの知ってるだろ。」
「そんな癖に長風呂だよなお前。」
こいつの名前は馬松夕夜中学からの付き合いである。ゲームの趣味が合うので、よく話す。世話焼きである。
「そういや、真昼は?」
「今日は日直だから先に行ってるよ。」
「ああ、あいつまじめだしな。」
そう、こいつに双子の兄の馬松真昼がいる。
「なあ、夕夜昨日はすまん。」
「んあ?おいおい、ゲーム内のことは外に持ち出すなよ。またログインしたときに謝れよ。」
「ああ。」
「まあ、一言言っておくと、あのゲームの燃やすときの臭いはリアルなんだからな。」
「すみません。」
「まあ、気にするな。今から学校だぜ。頑張ろうぜ。テスト前だからあまりねん居眠りするなよ。担任にどやされるぜ。」
「そうだな。」
少年2人は他愛のない会話をしながら晴れ空の元学校に歩いて行った。
夕夜は男です。はい、ネカマです。