急いで。
間が空いてしまってすみません。
といことで彼女に謝るのは明日の自分に任せて、急いで薬品ギルドに向かうことにした。親には遅くても一時には布団に入るように言われている。さっさと終わらせてログアウトしないと、強制終了されられてしまい、次のログイン時にどこに出るかわからない状態になる。前に一回されたときはレベル適正が20レベル以上離れたところに出たので、マジで生きた気はしなかった。最終的には死んで一週間周回して集めた素材が全部ロストした。
「・・・思い出しただけで、寒気がしてきた。」
特技”加速”のバフを二重に掛けて速度を上げた。
「早かったですね。」
「ハア、ハア、こっちもいろいろと急がなくてはいけないのでね。」
スタミナ切れを起こしながら、アイテムを使って無理やり走ってきたので、反動で息切れを起こしていた。
「お茶でもどうですか。」
局長はお茶を注いでこちらに差し出してきた。どうせなので、貰うことにした。
「あ、ありがとうございます。」
一気に飲み干した。少し落ち着いた。
「それじゃあ、報告と買い取りについて話しましょうか。」
「はい。ひとまず、規模としては報告を大きく上回る200匹以上でした。肝と睾丸はレッドキャップのものも含めて10個ずつだけです。残り190匹はすべて血液です。」
「よく持ってこれましたね。」
「うちにはモノづくりのスペシャリストが居るのでね。」
「そうですか。それでは肝と睾丸はいつもの3割増しで買い取らせていただきます。」
「お、結構太っ腹ですね。」
「今回はこちらの依頼ですし、レッドキャップの素材が混じっているとなると、例え一体だけだったとしてもこちらとしても手に入れておきたいのでね。」
「そうですか。それでは交渉成立という事で。」
「ええ。」
2人は一つの話が終わったというのに、安堵するどころかむしろ互いに苦笑いしていた。
「「はあ。」」
「どうしますかこれ。」
「こちらとしましても、出来るだけ買い取りますが流石に全部は無理ですね。」
「ですよねー。売れなかった分はうちの錬金術師にアイテムに加工してもらって、市場に流そうと思うんですけど…。」
「そうしたら、うちはともかく他のギルドやクランが黙ってないでしょー。ただでさえ、ドールメーカー氏は凄腕ですので、その本人の製作したアイテムとなると相当高値が付くでしょう。ですが、あなたたちは平凡なアイテムより少し高いくらいの値段で売るでしょう。そうしたら、市場の均衡が崩れますよ。」
「ですよねー。彼女職人気質のくせに、欲がないから適当な値段で売るんですよねー。今回は俺が売るので価格調整の方は安心してください。」
2人でお茶を飲み干してため息をした。
「相変わらず妙な圧力掛けてくる奴らがいるんですか。」
「そうですね、現地人の運営するギルドはあなた達との同盟を発表して以降何も言わなくなりました。しかし、プレイヤーの運営数クランの方は売り込んでくる人たちが増えましたね。ほら、あなた達のような小規模なのクランよりも自分たちの方が規模が大きくて力になれると。」
局長は苦笑いしながら語った。
「あー、いますよねー。俺たちがたった五人だからってなめてるやついるんですよねー。そういうやつらに限って、俺らのクランと戦ったことないんですよねー。」
「「はあ。」」
また二人で茶を飲み干す。
「最近、脅迫まがいのことをしてくる連中もいるんですよ。なんでしたっけ、あの商業系のクラン、えーっと、ヴェニスだったかな。」
「そこって確か、レッドギルドとつながっているかもしれないところですよね。」
「ええ。まだ証拠はないですが、調査中ですので結果は追々。」
「そうですか。なんか手を出されたら教えてください。次のクラン対抗戦でたたき潰します。もし人的被害が出たらすぐに言ってください。すぐに全員を潰しに行きます。」
「それは、あのクランと戦争になるといことですか。」
「いや、万が一です。ギルドメンバーにはくれぐれも身の回りに気を付けるように言っておいてください。人的被害がもっとも避けなければなりません。」
「はい。皆には伝えておきます。買い取り代金はまた明日わたします。」
「了解です、それではまた明日。」
「ええ。」
そうして部屋を出た。そして俺は一つの仮説を立てた。それはこのゲーム初の対人レイドの発生であった。
加速:暗殺者、忍者など諜報系の職業で得られる特技。これによりダッシュした際の一歩ごとの加速を増やす。デメリットはスタミナ消費が増えることである。
レッドギルド:NPCの中で犯罪を起こした人間が過半数を占めるギルドのことである。
ドールメーカー:サブリーダー
メインジョブ:?
サブジョブ:狩人、人形師
メインジョブは何かって、本人が登場してから発表します。