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ギルド長の依頼。

風邪で喉が痛いのかと思ったら、口内炎でした。

「すまない、わざわざ来てもらっていつもなら仲介ギルドを挟むのだけれども、急ぎだったのでね。昨日彼女に偶然会えたので、言伝を頼んだんだ。」

彼は薬品ギルドの長であるNPCキミアン・カーリー。白衣をいつも身にまとう胡散臭い青年である。

「そうですか。急ぎということは、材料が枯渇したのですか。」

「いや、問題は材料自体じゃないんだ。材料を育てている農園近くにゴブリンが出てね、農園の薬草を盗んでいくんだ。できれば奴らの集落ごと全滅させてほしい。」

「自分たちよりも、大きいところに頼んだ方がいんじゃないんですか。」

「ただのモンスターの大群の発生なら、他の大手に頼むのだが、ゴブリンの集団となると、対人戦に近い。それならば、対人戦のスペシャリスト達に頼む方がいいじゃないか。」

「それはどうも。ちなみに集団の規模は?」

「そうだね、最低でも50体はいると聞いている。」

「そうですか。では今から行ってきます。」

「今すぐにかい?」

彼は眼を見開いて驚いている。

「はい、早い方がどちらにとってもいいでしょう。大丈夫だよな2人とも。」

「ええ、もちろん。」

「ああ、もちろんだ。」

ここまで妙に静かな人だったが、出されたお茶と菓子を黙々と口に運びリスのようにほおばっていた。

「俺の分は。」

「「ない。」」

「はあ。」

「今から用意させましょうか。」

「いえ、依頼が完了して後にいただきます。」

「そうですか。それではお願いいたします。」

「はい。それじゃあ行くぞ2人とも。」

「「ウィー。」」

部屋を出ていこうとしてが、ふと思い出してキミアン氏に問いかけた。

「ゴブリン達からとれた素材はどうしますか。」

「ああ、そうですね。肝や睾丸は薬品の調合に使用するので、こちらで買い取らせていただきます。残りはそちらで処分していただいて結構です。」

「わかりました。それでは一度ハウスに戻って準備して向かいます。」

そうして、部屋を出た。

「でも、珍しいわね。ゴブリンが100匹を超える前に人前に姿を見せるなんて。」

「いや、さっきは最低でもっていってたぞ。」

「なあスカイ、ゴブリンによる薬草の盗難なんて聞いたことあるか。」

「聞いたことないがあるんじゃないか、家畜の盗難はよく聞くし。まだこのゲーム始まって一年だろ。まだ報告例のない敵の行動パターンはあるだろ。」

ハンドインデッドは何か思うところがあるのか考え込んだ。

「まあいいか。終わってから調べるとするよ。」

「そうか。」

「二人とも話は終わったかしら?」

「跳ぶわよ。」

「待ってくれ。」

「今行くさ。」

夜・ウィッチはテレポートコンパスを取り出していた。俺とハンドインデッドは彼女の肩に手を置いた。そして彼女はテレポートコンパスを使った。


クランハウスに戻ると寂れた錆さんはすでに出発していた。

「じゃあ、各自装備の準備して、十分後に入り口で。」

「ああ。」

「ええ。」

そして各自の部屋に入っていった。


ゴブリンという敵は単体の戦闘力は裸のレベル一のプレイヤーに劣る。しかし、数とその思考力で、NPCとプレイヤーに被害をもたらす。ゴブリンのその知能の高さから、このゲームの中ではゴブリンと戦うときは人間と戦っていると思うことが主流となっている。

「ということで、爆薬と毒だ。」

数が多い場合が一番厄介なので適当に数が減らせるように、爆弾を使う。大体は手りゅう弾や、地雷を用いる。この戦い方はよくプレイヤーキルに用いられる。まったく迷惑なことである、しかも発案者はPKをしていないのだから、責めることができない。これから起こすことを考えると、ゲームではあるがゴブリン達には少し同情する。


テレポートコンパス:クラン所属のプレイヤーが必ず手に入れることのできるアイテム。使用することで、クランの拠点に戻ることができる。拠点に戻ること以外に使い道はない。一度無くしたり、壊したりしたら再生成されることはない。他人の物を盗んで使用するとギルティプレイヤーとして、他プレイヤーに情報が流れる。

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