エリクサー作り
「ルクス?少し外を歩こうか。ミラやユウコを起こさずに」
「・・・・・・はい」
俺達はミラやユウコが起きないように静かに外に向かう。俺達の状況を見てかアグニやシルフはチラッとこっちを見たが何も声を掛けて来なかった。
「さっきの夢の中の事だけどどうしたんだ?」
「申し訳ありません。感情のコントロールができませんでした。それに重要な事黙っててすいません」
「ソンブレロの事か?確かに俺達にできる事は何もないけど・・・けど、一言くらいは言って欲しかったな」
「そう件は何回も謝ります。許せないなら私を破壊してください」
「な、なに言ってるんだ!?破壊なんてするわけないだろ!?」
「ならまだ私は曹長のAIでもよろしいですか?私は曹長に必要とされていますか?」
「当たり前だろ?ユウコは今もこれからも一緒だ。それに本体は俺の頭の中だろう?これからもよろしくな?」
「分かりました!!!ありがとうございます!!これからも全力でトレノ曹長をお守り致します!!」
「うん?まあありがとう。よろしくな!けど俺は魔法も覚えたからコクリュウみたいなのがうじゃうじゃ居るなら分からないがそうそう魔物には負けないと思うぞ?」
「不意打ち、人間からの攻撃が今後予想されます。特に競売の件で曹長やエルフのユウコ、ミラも名前が売れるでしょう」
それからユウコは今後の展開予想を言った。さっき言ったように俺達の名前が売れ、賊が襲ってくる事が高確率で起こる事、帝都の悪徳貴族辺りからの襲撃、もしくは囲い込みが起こる事、俺はまだ帝都には行ってないがドローンがステルスモードで帝都を調べていたら帝都に居る貴族の8割が奴隷商業に関わっている事が分かった。
「それと、オギゴ、サクソンしかまだ行ってませんが、ブルメシアと言う名前の街とダカールと言う街、ディグナスと言う街が300キロ圏内にありますがこの3つの街はサハリン帝国と争っている感じです」
「サハリン帝国は中々やるな。3方面軍事作戦か」
「表立った軍事行動はありませんがいつ争いになってもおかしくはありません。まあそれでも私達の国の規模からすれば紛争レベルですけどね」
「紛争レベルだとしても戦争が起これば巻き込まれるのは民だ。競売が終わればとりあえず帝都に行こう。貴族の誘いがあれば国王がどんな奴か分からないが近付くために話しに乗ってやろうか」
「世直しですか?アシュタルト様の言葉も気になりますがそれはまたその時ですね」
確かに面白い再会と言ったが・・・まさかエクセルシオから救援が来たのか!?いやそんなはずはない。何も通信がこない・・・どういう事だろう。考えても仕方ない。
「私もどんな事が起こるか予想できませんが、今はせっかく行使した魔法でできたアポーの実を食べてみませんか?見た感じコクリュウの所で貰ったランプーと似てますよ!」
「そうだな。何個か切ってみよう」
インフルブルームでできたアポーは数え切れないってほどでもないがまあまあ出来ていた。この種が万能薬エリクサーの原料なんだな。種は捨てずに持っておこう。
なんとか気持ちの整理ができエリクサーも作れそうですね。これで何かあっても曹長を死なせずにできそうです。あのアシュタルト様の言い方・・・いつか必ずカオス神と共にソンブレロの連中が来る筈・・・なんとしてもそれまでにこの惑星を一つにしておかないと死の星になってしまう。
「おーい!ルクスも食べてみろよ!甘くて美味しいぞ!ユウコもミラも起きたしこっち来いよ!」
「ありがとうございます!」
「トレノなんともない!?大丈夫?」
「ミラも心配しましたよ!!」
「大丈夫だ。魔力枯渇だっただけだ。それにルカ?魔力の補助ありがとうな?」
『ふん!あーしはまだ完全回復してないわよ!それにアシュタルト様に少し怒られたんだから』
「それは悪いことしたな?謝るよ」
『ぜっんぜん悪そうな素振りは見えないけどね!?』
「まあ、そう言わずルカも食べてみろよ?それと残り少ないけどランプーも食べてみな」
結局アポーをみんなで食べたが止まらないくらい甘くしかも何故か冷たくて美味しいので追加で実だけを取ってまた食べた。
「今日は一日ゆっくりしよう。エリクサー作りをしてみたいんだ」
「そうよ!エリクサーよ!私も見てみたい!伝説の秘薬よ!!」
「ミラも見てみたいです!!」
「じゃあみんなで作るか!作り方は簡単みたいだぞ?」
その後は朝から食い過ぎた為少し休憩して俺は軽くランニング、筋力トレーニング、ルクスと殺闘術の練習をした。
ユウコやミラは変わらずルクスから教えてもらったライトアローや新しく俺とルクスが考案した魔法、まあ精霊の力がないと行使できないがルカの氷属性、ウンディーネの水属性、シルフの風属性、ルクスの光属性、アグニの火属性を駆使した5属性複合魔法ザイオンと命名した。
ザイオンとはエクセルシオにある簡単に設置できる軍事拠点だ。侮る事なかれ。この軍事拠点はエクセルシオの技を注ぎ込み作られた最強の砦に変貌する代物だ。人が持ち運びできる程に圧縮して作られた建物が空気に触れる事により膨張していき大きくなれば任意で地中50メートルから上空50メートルまで見えないマイクロ電磁波を放つ事もできる。他にも色々な装備があるがそれは置いといてそのエクセルシオ最強の砦と同じ名前にした。
『トレノ!あーしもあんたの記憶を見て行使してるけど全然できやしないよ!!』
『そうよ!ウンディーネの水に風を当ててるけど全然固まらないじゃん』
「だからそんな勢いじゃなく風の中に水を溶け込ますんだ!ルカは変にエクセルシオの建物の形じゃなくこの星の建物の形でいいんだ!これは中々突破されない防御魔法なんだ!」
『だったらそれはルクスの障壁でいいじゃない!?』
「あれは魔力消費が激しいからルクスも疲れるんだよ!俺も本物じゃないけど借り物の魔力でサンクチュアリを行使できるけど30秒しか行使できないんだぞ!?」
「風の中に水を風の中に水を・・・こうかな・・?」
「ミラ?さすがね?さすが私が見込んだだけはあるわね?正解よ!シルフもウンディーネも人間のミラができたのよ?あなた達精霊ができないわけないわよね?」
黒いルクスに堕ちそうだがやっと調子が戻ってきた事に俺は安堵した。さっ、俺はエリクサー作りをしよう。