ルクスの涙
気がつくと俺は何もない空間で一人佇んでいた。すると前から女性?違う。発光する何かがやってきた。
「インフルブルームを使い何をする?理から外れた人間よ」
「あなたは誰だ?それにここは何処だ!?」
「ここはあなたの夢の中。私は始まりの神 人間は創造神とも言うわね。アシュタルト。あなたは理から外れた人間トレノ」
ボワン
「この方が喋りやすいかしら?」
「すいません。あなたがアシュタルト様でしたか」
「もう一度問う。インフルブルームを使い何をする?」
「いや、エリクサー?を作り、どうしようもない怪我などした場合に使おうかと・・・聞けば万病に効くと精霊達に聞きました」
「あれは・・・この世界を作り最初に作った人間に食べさせた事が原因です」
アシュタルト様が最初に作った人間の男女。この男女にアシュタルト様の魔力が移ってしまい、当初は樹属性魔法が使える人ばかり産まれていったらしい。
魔物を作りその魔物が子を産みその内大型種なども増えていき人間達だけでは太刀打ちできなくなり他の属性魔法を与え怪我した人を治す為にこのインフルブルームを考え人間に与えた。
その種を乾燥させ細かく砕き龍水・・・この迷いの森の俺が最初に居た拠点近くの泉の水を混ぜて魔力を込めるとエリクサーができると言った。
「意外に簡単に作れるのですね?」
「そこが問題でした」
それから人間はエリクサーを量産していき、どんな怪我も治ると慢心し命を省みない人が増えてその事を嘆いたアシュタルト様がこの魔法に限り封印してしまったらしい。
突然使えなくなったインフルブルーム。残されたエリクサーは今あるだけ。後は醜いエリクサー争奪戦の始まりであった。
「幾度となく人間はエリクサーを求めて争いをしました」
「そうならない方法もあったんじゃないですか?アポーの実にエリクサーの効力を消すとか」
「落ち着いて考えればそうですね。けどあの時の私はまだ若かったのです」
時代が進んでも人間はエリクサーを忘れられず幾度もインフルブルームを行使しようとした。時には生贄を使ったり神様に供物を備えたりして・・・けど一度封印した魔法をまた使えるようにはしなかった。
そしていつしか研究もしなくなり樹属性を操る人が居なくなり今では書物すらも少なくなり俺が貰った本が希少性が高くなったって事らしい。
「封印したこの魔法。まさかまた人間に使われるとは思いませんでした」
「いや、俺もビックリしました。ルカを真似て発声すればいきなり意識が遠のいていきまして」
「少し待って。あなたの彼女かしら?あなたの意識に入ってるのに無理矢理入って来ようとしてるわよ?ルクスと言ったかしら?ウィスプの眷族ね?身体だけ渡したとか?」
「本当の名前はユウコって名前です。特別な感じで・・・」
「曹長、無事でしたか!?」
「無事もなにも夢の中だろう!?」
「眠っているのに脳から異常にドーパミンのシナプス間隙への過剰な放出が起き、寝ているのに刺激があったかのように伝達が生じていたので・・・」
「まあ大丈夫だ。この人?が始まりの神アシュタルト様だ」
「こんにちわ?ユウコ?」
「あなたがアシュタルト様でしたか。失礼しました」
「別にいいわよ?ウィスプを通じてあなたの事も分かっているの。それに運命神を通じて先を見る事もできるの。もう少しすればあなた達二人は面白い再会を果たす事になるでしょう」
「ん!?どういう事ですか?」
「それは教えられない。それと先に謝らないといけないの。あなた達が私の世界に来て恐らくこれから起こる事をあなた達に頼る事になると思うの」
アシュタルト様はコクリュウから教えてもらったカオス神の事を言った。ずっとカオス神を探しているみたいだけど手掛かりがなく俺が二回目の精霊界に行った時にポセイドン様が感じた違和感をアシュタルト様も感じ、初めて宇宙に意識を向けた。すると宇宙にはカオス神の魔力を感じる場所がありそこを調べると・・・
「そこがあなた達の世界で言うソンブレロ?って名前の星だったかしら」
「なに!?まさか!?」
「あなたの彼女は分かっていたみたいだけどね?」
「ユウコ!?どういう事だ!?何故もっと早く言ってくれなかった!?」
「言ったら曹長はどうにかしようとするでしょう!?今私達はエクセルシオ航宙軍ですが二人しか居ないし何もできないのです!」
「それでも・・・」
「だから!!言わなかったのです!私は曹長を死なせたくありません!ここから宇宙に飛び出す事もできません!なら大人しくこの星でみんなと暮らして欲しい。そう思っただけです!私が曹長の危険を省きます!私がこれからも曹長を守ります!曹長が死ねば私も脳チップを破壊します!」
「なっ、何言ってるんだ!?」
「ふふふ。ユウコは面白いわね。あなた達の世界をルカを通して見たわよ?素晴らしい星よね?魔法がまったくないなんてね?その代わり科学が進んだのね?私の星もああいう風にするべきだったかしら?」
「アシュタルト様には分からないでしょう。私の気持ち。何故カオスの事なんか言ったのですか!?」
「だから先に謝ったの。それにあなたの今の気持ち。それは元は意識だけの存在だった者がウィスプから借り物の身体だけど精霊という区分で、特別に人間に認識できるように成分をほぼ人間と同等にして作られたその肉体を得て感情を覚えた。あなたの感情はただの好き嫌いの感情じゃないわよ?」
「分からない!分からない!分からない!!!」
「おい!ユウコ!?どうしたんだよ!?らしくないじゃないか!?」
「ふふふ。いっぱい人間の事を学びなさい。真に学べたらその身体は私からプレゼントしてあげるわ。トレノ?あなたももう少しユウコを見てあげなさい?」
「どういうことですか!?」
「それは二人が今後話し合いなさい。詳しくは言えないけどもう少ししたら二人は今後の帰路に立つことになります。その時の選択によってまた私は現れましょう。今日はありがとう。楽しかったわよ?それとアプーの実なんだけどあまり無関係な人に渡さないでね?私の世界の人間がまた争う事になったら・・・・後は分かるわよね?」
最後のアシュタルト様の笑顔の言葉を聞いて魔力枯渇とは違う【本物の】震えを感じ目が覚めた。
目が覚めて横を見ると拠点のベッドに寝かされていてミラとエルフのユウコは俺の部屋の床で寝ていてルクスは足元に座っていたが・・・俺は初めてルクスの涙を見た。




