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トンゴの鍛冶場

 「そのトンゴさんって人は有名なのか?」


 「トンゴさんって方は性格は気難しいと有名だけど武器を作らせたら世界一と言われている職人ですよ!」


 「へぇ〜。そんな凄い人なんだな。ならどうせなら俺も一本作ってもらおうか?な?ルクス?二刀流もカッコいいと思わないか?二天一流だったよな?」


 「剣豪 宮本武蔵氏の事を真似て言ってます?」


 「そうだ!その人だ!」


 「みやもとむさししとは誰ですか?帝都で有名な剣豪の方ですか?」


 「いやキアロさんは気にしないでください!ちょっとした有名な人ってだけですよ!」


 「私は初めて聞いた人です。シルビアさんも知ってる人ですか?」


 「え?ええまあ。あの宮本武蔵様は外国で有名な方ですよ!」


 さすがシルビア、さっきから話し合わせてくれるの助かる。

 そうこう話しているとトンゴさんって人の鍛冶場に着いた。


 「おう。キアロか。久しぶりだな?バルの所はどうだ?」


 「お久しぶりです!旦那様には良くしてもらってますよ!それとトンゴさんは嫌がるかもしれませんがお客さんの紹介です。しかも素材は持ち込みですよ!」


 バルさんは知らないと言ってたが多分これは知ってる感じだよな。まあ理由までは聞くつもりはないけど


 「別に客は間に合ってるんだ。他をあたってくれ」


 確かに頑固そうなドワーフだな。うん?ドワーフ!?良く見れば初めて会う人種なのに普通に受け入れてるぞ?まあ見た目が爺さんだからか?身長は子供くらいしかないが身体が筋肉の塊みたいな感じだな


 「トンゴさん、そう言わずこのトレノさんは凄い冒険者の方でーー」


 「そう言ってワシは昔色々な冒険者に剣を作ってやったがみんな乱暴に使うだけで大した腕もないのに偉そうに一端の事を言う奴ばかりじゃ。ワシは冒険者にはもう作らん」


 確かに一生懸命に作った物が乱暴に扱われたらいい気分にはならないよな。俺は別にこの人の剣じゃないとダメとは思わないし諦めようかな。


 「トンゴさん・・・と言いましたよね?私はトレノ曹長と同じ冒険者の一人、3等級冒険者のルクスと申します」


 「あぁ、ワシに丁寧な挨拶しても無駄ーー」


 「要はあなたは私達の剣は作らずにどこの誰か分からない人の剣を作ってると?」


 ルクスは何言い出してるんだ!?失礼すぎるじゃないか!?あ〜あトンゴさんもプルプルしだしたじゃないか。


 「おい!小娘!もういっぺん言っーー」


 「何回でも言いましょう。ただ私はこのトレノ曹長に師事してもらい剣を習っています。ちなみにですが私は先日ダルカスさんから一本取りましたよ。それでも役不足だと?」


 "ルクス!いい加減にしろ!"


 "曹長は話し合わせてください。このドワーフが作っている剣の持ち手の部分を見てください。特殊な刻印がありますがあのダルカス氏の剣にも同じ刻印がありました"


 "そうかもしれないがそれでも言い過ぎだ"


 "良い方向に向きます。任せてください"


 "・・・・・あまりに酷くなったら俺が中に入るからな"


 いつからこんな性格になったんだ?最近強引すぎるところが目立つな。


 「なに!?お前みたいな小娘がダルカスから一本取ったじゃと!?馬鹿も休み休み言え!そんなヒョロイ体した女子おなごがダルカスから一本取れるわけないだろう」


 「あら!?ならダルカス氏を呼びましょうか?」


 シルビアもキアロさんも焦ってるな。そろそろ間に入るか?


 「おう!トンゴの親父やってる・・・ルクスにシルビアとトレノか!?お前達もトンゴの親父の剣使ってるのか!?」


 これまた良い時にダルカスさんが現れたな。


 「ダルカス?お前この小娘に一本取られたと聞いたが本当か?お前が一本取られるなんざ想像もできんぞ?」


 「トンゴの親父はまだ客を選んでるのか!?んな事してるから腕は世界一と言われてるのにこんな小さな鍛冶場でしか剣が作れないんだよ!確かに一本取られたぞ。がははは!」


 「一本取られてお前が笑っておるのか!?それ程の差があったのか!?剣聖と良い勝負ができると言われておったお前が!?」


 「あぁ、間違いなくこのルクスとルクスの師匠のトレノの方が俺より強い。あの無双四段乱れ雪月花なる技は剣聖の技なんかよりも強いさ。賭けても良いぞ!がははは!」


 くそ!こんな所で技の名前を出すなよ!?恥ずかしくなってきた・・・・


 それから俺達は少し雑談し、キアロさんは丁寧にお礼を言い今度この引き合わせしてくれたお礼にみんなでご飯をご馳走すると言い帰った。

 ダルカスさんはルクスとの模擬戦後から色々閃きが起こるらしく引退した歳をも感じさせないくらいに若い冒険者と毎日剣の打ち合いをしているらしく長年使ってきた愛剣が刃こぼれが至る所にできた為、直してもらうためにこのサクソンまで来たらしい。


 「ダルカスがそこまで言うなら信じよう。おい!トレノと言ったか?それに女子おなご二人も特打ちで作るのか?」


 「シルビアとルクスはどうする?」


 シルビアはそんな無駄使いしなくて良いと言ったのと剣は苦手とも言ったがこのトンゴさんは魔法を行使する時の触媒を作るのにも有名らしくシルビアは触媒を作ってもらう事にした。

 ルクスはAIの演算の元、細かい重量、持ち手の形まで指定して、斬るより刺す方がメインの小剣を注文した。トンゴさんも気難しい人だと思ったが剣を作るのが好きなのか色々ルクスにデザインとかを聞いてメモしていた。


 「最後はトレノと言ったか?お前はどんなのがいい?」


 「どうせなら刀をお願いしてみればどうですか?」


 「いや、あれは伝統的な返しを覚えてとかだからさすがにトンゴさんでも言っただけじゃ分からなーー」


 「おい!小僧!もっぺん言ってみろ!?ワシに作れないだと!?ふん!笑わせてくれる!ワシに作れない剣はない!」


 なんかトンゴさんの仕事魂に火が付いたみたいだ


 「簡単にですがここをこうやって、反りの部分が…返しに…絵で言えばこんな感じで…何枚も鉄を叩いて…」


 俺はそこまで分からないしなんなら公休日に地球の日本という自治体の歴史を勉強している学生らしき人の書をステルスカメラで見ただけだから説明できないがルクスが色々トンゴさんに説明してくれた。


 「これは・・・・こんな剣が・・・」


 「トンゴさん?これは異国の剣で名を刀・・・日本刀と言う名です。このサクソン、オギゴで色々な人を見ましたがこの刀を持ってる人は居ませんでした。あなたならこの意味が分かりますね?」


 「ねーちゃん言ってくれるじゃねーか!このドワーフ トンゴ 魂に賭けてもこの三振仕上げてみせる!素材は何がいい?ん?トレノの剣を見せてみろ」


 俺はオギゴでユウコに買ってもらった剣をトンゴさんに見せた。コクリュウと戦ってから手入れしてないから恥ずかしいんだけど・・・刃こぼれはしてなかったと思うけど・・・


 「また懐かしい魔法剣だな。ワシが見習いの時に打った魔法剣じゃないか」


 「え!?これトンゴさんが作った魔法剣だったのですか!?」


 「おっと?これは綺麗なねーちゃんの贈り物か?中々見る目があるじゃないか!?」


 「えっと・・・それは・・・」


 うん?なんでユウコは恥ずかしそうにしてるんだ?普通に買ってあげたって言えばいいんじゃないか?


 「そうですよ。このシルビアに初めて買ってもらった剣ですよ。いや、まさかトンゴさんが見習いの時に作った剣だとは世間は狭いですね」


 「おっ!?シルビアが贈ったのか!?つまりそういう事か!?これは帰ってギルドでお祝いか!?」


 「ダルカスさんも黙ってください!!!」


 「そんな怒る事じゃないじゃないか!ギルド一のアイドルシルビアが男に剣を贈ったと知ればギルドの男共は悲しむだろうがな!がははは!」


 「シルビア?剣を貰った事に意味があったのか?」


 「あぁぁぁぁぁ〜!!!トレノ!!その事はまた今度言うから!!!」


 「お前は知らずに貰ったのか?まっ、帰ってから理由を聞けば良いさ!」


 「「がはははははは」」


 トンゴさんとダルカスさんは二人して大笑いした。

 その後、ドラゴンの鱗を素材として提供して現物をマジックバックから出すとすぐにトンゴさんは鍛冶場を閉めて色々根掘り葉掘り聞かれた。

 このコクリュウの鱗がそんなに珍しいのか?そりゃ剣にドラゴンの鱗が混ざってると言えばカッコよくは聞こえるけど・・・


「いやぁ〜、このトンゴ鍛冶業して180年一番面白い仕事に出会えたかもしれん。最初偉そうに言って悪かったな。期限は20日!20日後にまた来てくれ!精一杯ワシの持てる全てを出して作って見せる!この世界で三本しかない小剣、刀、触媒を作ってやる!」


 「急ぎはしないのでよろしくお願い致します」


 そう言いトンゴさんの鍛冶場を後にしたら辺りはもう夕方となっており、ダルカスさんが一緒に夜飯を食おうと誘ってきてくれたのでダルカスさんがサクソンに来れば必ず来るという酒場にやってきた。道中、ルクスが何も話さないのが気になるが・・・

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