ドラゴンおじさんの秘密2
「トレノ大丈夫なの!?それにルクスは!?」
「トレノ様無事なのですか!?」
「まあ無事も無事だ。とりあえず行けば分かるからドローンに触れていてくれ」
「ド・・ドラゴン!?うわぁぁぁぁぁ殺されるぅぅ〜!!!!!!」
「これ!人間の女よ!騒ぐでない!これを飲め!お前が飲めば魔力が矮小な人間でも多少良くはなる。エルフのお前も飲んでみろ」
ドラゴンおじさんは声こそ威圧的だが俺にも飲ませてくれたランプーの擦り潰した飲み物をミラやユウコにも飲ませてくれた。
「なんか・・・身体が熱い・・」
「ミラ大丈夫?」
「ふははは!この人間の女は人間が成長できる限界のマナまで到達しおった!かれこれ見るのは久しぶりじゃな!実に面白い!」
「ドラゴンさん?それはどういう意味でしょうか?」
「エルフよ!よくぞ呼んでくれた!さっきからこの男は我の事をドラゴンおじさんだのおじさんだの好き勝手呼んでくるんじゃ。先に聞いたのは我が言った通りのままじゃ!」
ボワンッ
「良し。これで貴様等もしゃべりやすかろう!褒めても良いぞ?この人化の魔法は中々に難しく覚えておる魔物も少ないのだぞ!ふはははは!」
ドラゴンが人間になった!?いや、人間になったが所々手や足に鱗が残ってる!?いやこれは凄いぞ!魔法はなんでもありか!?科学では説明できない事が山程ある!ルクスも顔がやばそうだ!
「ドラゴンさん!凄い!カッコイイ!!!!」
「ふはははは!!!エルフの女よ!貴様は中々見所がありそうじゃ!!この人間の男に飽きたり死んだりしたら我の元に来い!その昔、エルフ族にすれば中々のマナを持っておったマーサより強い魔術師にしてやろう!」
「え!?ドラゴンさん!おばあちゃん知ってるの!?」
なに!?マーサとはユウコのおばあちゃんか!?このドラゴンは知ってるのか!?それより早くミラをなんとかしてやらないと!
「悪いユウコ、ミラをどうにかしてやりたいのだが・・・おい!おじさん!なんとかならないのか?」
「誰がおじさんじゃ!人が気持ちよく喋っておるのに!この人間は成長限界がきておる。マナの成長がこれ以上しないから我が作ったランプーの汁を飲み魔力が溢れ返っておるのじゃ。人間の女!動くでないぞ」
プシュ〜〜〜〜〜
「どうじゃ?我の魔力を流して貴様の身体にあるマナを活性化させてやった!これも中々できる奴は居ないのじゃぞ?褒めても良いぞ!?ふはははは!」
「あっ、何か凄く楽になりました!それに今ならルクス様の極大魔法も放てそうです!!」
「曹長ミラの魔力が以前の4倍程上がりました」
「4倍とはまた凄いな!」
このドラゴンおじさんはおちゃらけな感じで調子乗りだがやってる事は本当に凄いぞ。ドラゴンが人間の姿に変身?してミラの魔力の底上げをしてくれた。これは素直に感謝しないといけないな。
「おじさん。これは普通に凄い事してくれた。感謝する」
「チッ!もっと喜んでも良いのだぞ!ほらほら!」
「ドラゴンさんミラをありがとうございます!それと私のおばあちゃんを知っているのですか!?」
「そう言えばマーサと似ておるのかのう?」
ユウコのおばあちゃんはかつて帝国の筆頭魔術師と言っていたがドラゴンからも同じ事が言われた。今の帝国になる前のまだ小さな国で、十一代前の国王の時代らしくその時は人間至上主義じゃなく色々な種族が共存していた素晴らしい国だったらしい。だがその少し前に、とある神が悪の心に染まり神界から人間界に降り人間を通じて悪さをしていたらしい。その人間を操っていたのが・・・そう。
あの魔導帝国と言われていた国の連中だ。その墜神の名前をカオスと言う混沌の権能を持ってる神だったらしく人の心の隙間に入り込み徐々に身体を蝕み洗脳状態にしていたらしい。
この神の目的はアシュタルト様が作ったマナの結晶、俺達が言うカリホルニウムを自分に取り込みアシュタルト様より強くなろうとしての事だとドラゴンは言った。
「都合上精霊とか神と区別はするが何でアシュタルト様とかが人間界に来ずにあんたに人間界の事を任せたんだ?」
「それはアシュタルトや貴様達に分かりやすく言えば他の神や精霊が人間界に来れば莫大な魔力が世界に満ちて魔力災害が起こるからじゃ」
その当時はカオスが人間界に居る事で魔物も活発に動きこのドラゴンおじさんの眷属や魔導帝国に屈していない各国が魔物を狩りなんとか防いでいたそうな。そもそも魔物とは普通の生物の摂理オスとメスが交尾して産まれる者も居るが単独行動している魔物は魔力溜まりから自然に産まれてくるという事も教えてくれた。
俺はその科学では説明つかない事を疑問に思うがこの謎が解ける事はないだろうとも思う。アシュタルト様が作った世界だから。としか結論が出せない。
「それで先にも言ったがウィスプが顕現し、光属性 究極障壁 サンクチュアリを発動させたがサンクチュアリは魔力の消費が激しいからウィスプが人間界に来てもその分魔力消費しておるから何も災害が起こらなかったのじゃ。じゃがさすがに障壁だけで何もしなかったらカオスが本当にマナを取り込む可能性があったから人間界で魔力が高いエルフ族マーサに我が無属性魔法や原初魔法を教えたのだ。内部を撹乱させるためにのう」
「ならドラゴンさんはおばあちゃんの師匠って事ですか!?」
「端折って言えばそうなるかのう?マーサはエルフの癖に覚えが良くてのう。我が魔法がなんたるかを教えるとすぐに覚えて最後の方は五回に一回は我が負けるくらいになっておった。確かマーサを鍛えておる時に我のツレの事を聞いてきおったのう?我のツレが居る地球の日本という国の事なんか色々聞いてきおってな?『日本の子供の名前はなんて言うの?』と聞いてきおってな」
「それで、ユウコの名前が決まったって事か。これで謎が解けたな」
「おう!それじゃ!ユウコと我のツレが言うておったのう!じゃが我のツレは乙姫やら桜姫にしろと言うておったのじゃがマーサは最初に出た名前にすると言うてな?なんでも最近の地球の日本の時間軸に多い名前だそうだ」
「私の名前を付けてくれるのにそんな出来事があったのですね」
「だいぶ話しているが我は腹が減った!人化すると腹が減るから嫌いじゃ!じゃが理が違う世界の料理が気になるのう!」
ドラゴンおじさん!悪いな!俺のマジックバックに入ってる材料はほぼ地球料理ができる物しか入ってないぞ!俺の国の料理も美味しい物もあるが地球料理と対して変わらないぞ!具材が違うだけだ!
それともう一つ俺の常識というか倫理観で信じられない事があったのがさっき殺されたワイバーン。あれを普通にこのドラゴンおじさんは料理に使えと言ってきた事だ。
「正気か!?仮にも眷属だろう!?」
「ふん。眷属だろうが、よその戦闘に水を差すような真似をした此奴が悪いのじゃ。強き者が弱き者を喰らう。自然の摂理じゃ。遠慮は要らん」
「分かった。そう言うなら遠慮なく使わせてもらうぞ」
俺は同族・・・人間を食べる気には絶対にならないと思う。これは生き物としての違いか、種族の違いだという事にしておこう。俺はマジックバックに入ってる大量のパンを使い、ルクスに手伝ってもらいながら 地球料理の・・・まあ俺の国にもあったし、なんならこの惑星にもありそうだがハンバーガーを作った。味付けは俺が好きな日本という自治体の味付けにはしたが。
「曹長!フォルダー4にある、俺の太陽系 第三惑星 地球 日本料理にあるタルゥタルゥソォースゥーも作れそうですし合うと思いますがどうされますか!?」
「ぶっ!!!恥ずかしいから言わなくていい!」
「トレノ!?さっきの名前のなに!?」
「ユウコは気にしないでくれ!」
「トレノ様!私は俺の太陽系ってやつを食べてみたいです!」
「ミラ?それは食べ物じゃないんだ。頼む。美味しいの作ってやるから静かにしててくれるか?」
"ユウコ!金輪際フォルダーの名前言うのは禁止だ!"
"いいじゃないですか?私は分かりやすくて良いと思いますよ"
俺は人生で指五本に入るくらい恥ずかしい気持ちになった。