ドラゴンおじさんに遭遇
「曹長!ミラ、ユウコ大丈夫ですか!?」
「私は大丈夫!ミラは!?」
「ミラも大丈夫です!」
「土煙で何も見えないぞ!?ルクスは大丈夫か!?保ってるか!?」
「クッ・・・サンクチュアリは後2分が限度です・・」
土煙が風で徐々に舞い視界が晴れていって凄い衝撃の正体が現れた。まさにエクセルシオでもおとぎ話に出てくるドラゴン。初めて見るが一目で分かる風格、威圧、ドラゴン。空の覇者と言われてもなんら不思議がない風貌。
「キャァアーーーー!ドラゴンよ!!」
「ドラゴン!?オエ・・気持ち悪い・・・」
「くそ!ミラは魔力酔いか!?ミラ!少し待ってろ!瞬殺してくる!ルクス!ディスラプターを使う!」
「了解です!サンクチュアリに集中しているため補助できません!曹長の自力でお願いします」
「ふははははは!良く来た人間よ。我の眷属を倒したようだな。久方ぶりの来訪者だ。楽しもうぞ」
「喋った!?ドラゴンが喋った!?トレノ!このドラゴン相当知能が高い種のドラゴンよ!」
「なに!?この恐竜ドラゴンは喋るのか!?どういう事だ!?」
「曹長!大変興味深いですが今は調べれません!」
「ははは!我をそこらの下等な蜥蜴と一緒にするでない!!・・・ほう。エルフ族か久しいのう。だがまだまだのようじゃな。マナが成長段階か。出直せいっ!!!!」
ビリビリビリビリ
「ただの咆哮で皮膚がひりつくようだ・・・」
「貴様は・・・ふん。魔抜けか。話しにならん!去ね!」
ビリビリビリビリ
『ドラゴン如きが偉そうに!くらいなさい!ウインドプロージョン!』
『負けない・・・アクアプロージョン!』
「ふん。中級精霊か。我に挑むなら相手になるが同じアシュタルトの眷属だ。一度は見逃してやる」
『えっ!?無傷!?』
『・・・無理かも・・・』
『おうおう!俺っちを忘れてもらっちゃ困るぜ!くらえ!クリムゾンフレア!』
シュンッ
『なっ・・俺っちの全力魔法が消えた!?』
「今度は上級精霊か。筋は良いが・・だがまだ若い!」
「ドラゴン!!!お前の相手は俺だ!!!!」
チュドォーーーーーーン!!!!!
「「うわぁぁぁぁぁぁーーーー」」
「すまん!こんな接近でディスラプター銃を使うのは本来は危ないだが余裕がなかった!ミラもシルビアも許してくーー」
「曹長!まだです!!」
「ほう。魔抜けかと思うておった奴が一番のやり手か。我の障壁を貫通し且つ二枚の羽をも貫くか。久しく外の世界の人間を見ておらぬが中々に面白い。実に面白い」
「クソッ!ディスラプター銃で分子分解できない事なんてあるのか!?命中した所が回復してるぞ!?」
「曹長・・すいません、サンクチュアリ限界です・・・」
「そっちは光属性の上級精霊か。中々に珍しい組み合わせだな。これだけ魔法を乱発してくれたんだ。礼をしないとな?かつて我が人間の街を破滅させた無属性究極魔法だ。防いでみせよ。星落とし(メテオ)」
「ルクス命令だ!今すぐアグニ達精霊とミラ、シルビア、お前は転送で戻れ!俺がどうにかする!」
「そんな命令聞けるはずがーー」
「AIの規則は!?命令に従え!もし俺に何かあればミラとユウコの事を頼む」
「・・・・帰って来なかったら許さないですよ。攻撃ドローン一機残しますので使ってください」
「ちょルクス待ってトレノがーー」
「ほう。テレポートまで使うか。そして貴様が残るか。その気概嫌いじゃないぞ」
なんとなくだが何も根拠はないがこのドラゴンはイフリート様と同じような気がする。俺達を本当に排除するなら最初から排除できたはずだし、わざわざこんな極大魔法なんか使わずにあのデカい爪で斬り裂くだけでもいいはずだ。
だが・・この星落とし(メテオ)を引っ込めてくれる気はないらしいな。以前試したディスラプターレールガンを撃てばなんとかなる気はするがあんなのこんな島で撃てば津波が起こるかもしれないからな・・・。
ドラゴンが行使した魔法は見た感じ隕石が落ちてくる魔法か?正直魔法剣にアグニから教わったフレアウォールを纏わせ風魔法のブーストで全部斬っていけば大丈夫か。ルクスも問いかけに反応しないし余程魔力を使ったか?まあやらないと死ぬだけだ。
バシュンッバシュンッバシュンッバシュンッバシュンッバシュンッ
俺は無数の隕石が落ちてくると思ったが案外そうでもなく小粒の隕石くらいが20程落ちてきてるだけだった。そりゃ当たれば間違いなく死ぬと思うが然程脅威には思えなかった。
「ほう。見事防ぎよっーー『ギャァォォォーー』よその戦闘に乱入してくるでないッ!」
ズシャッ
あれだよあれ。あの爪で一刀両断で俺達を殺せたはずだがあのワイバーンだったか?乱入してこようとしたら一撃で倒したがこのドラゴンは目的があるのか?
「我の眷属が邪魔をした故、排除した。許せ。貴様は魔力がないのに魔法を撃つ。剣もやるが動きは見た事ない。だが我のメテオを全て斬った。面白い。実に面白い!ふはははは!次は我が見極めてやろう!どこからでも掛かってくるが良い!」
やはり謎だらけのこのドラゴン・・・俺はなんとなくこのドラゴンにおじさんという言葉が思い浮かんだ。ドラゴンおじさん、最初は倒す気でディスラプター銃を撃ったが今は純粋に剣を打ち込ませてもらおう。
ガキンッガキンッガキンッガキンッガキンッガキンッ
「そんな柔な魔法剣ではなかったはずだ!先のメテオを両断した時はもっと剣圧があったはずだ!遠慮はするな!フンッ!」
「クッ・・・・・・」
薙ぎ払いの風圧だけでこんだけかよ!?どんな生き物だよ!?集中しろ!集中しろ!!相手の動きを見過ぎるな!待つな!自分から動く!!
シュッシュッシュッシュッスパッ!
「なに!?我の鱗が!?」
シュッシュッシュッシュッスパッ!
「これはいかん!待て!おい!人間よ!待て!!」
シュッシュッシュッシュッスパッ!
「待てと言うておるだろうが!!」
ゴフッ
「痛ぇっ!!!クソッ!肋骨が折れたか!?まだだ!鱗が斬れた事は肉も斬れるはずーー」
「話しを聞け!馬鹿者が!」
「うん!?なんだ!?」
「人間は深く集中すると意識混濁すると聞いておるが貴様はまさにその状態じゃった。落ちると戻れぬぞ。剥がれかけの鱗ではあったが今も昔も我の鱗を斬った人間の剣士は初めてじゃ。誇りに思え!」
「うん!?どういう意味だ!?あんたは俺達を排除しようとしたんじゃないのか?」
「貴様は途中から気づいておると思うとったがのう。最初に言うたであろう?'楽しもうぞ'と。要は退屈だったのじゃ。久方ぶりに見る人間、上級精霊に、しかも光属性究極障壁を扱える上級精霊なぞ1000年振りに見たぞ!じゃから少々力んでしまった感は否めないがな。許せ」
「え?ならこれは本当に暇潰しだったのですか?」
「そうじゃが?怪我すらもしておらぬじゃろう?いや貴様は腹の骨が折れておるか?人間は脆いからのう。加減が難しいんじゃ!はははは!そらっ!」
「あれ!?痛くない!?骨が治った!?」
「我が使う無属性回復魔法リザーブだ。どうじゃ?気持ちいいじゃろ!?褒めて良いぞ?ふははは!」
やっぱこのドラゴンおじさんはイフリート様と同じだ。人間が好きなんだ。ならなんで人間の街を滅ぼしたんだ!?
(チラッ)
「貴様は仲間の所へ行くのか?」
(チラッ)
「もし我に着いてくれば」
(チラッ)
「本当のもてなしをしてやれるんだがな?」
(チラッ)
「・・・・・・・・・・・・・」
このドラゴンおじさんはなんなんだ?帰って欲しくないのか?しかももてなしだと!?あの第三惑星 地球の 日本にもおもてなし って言葉があったぞ!?秘密が聞けるかもしれない。行くしかないよな。
「着いて行こう。鱗が剥がれた所から血が出てるが大丈夫なのか?ちょっと屈んでくれ。効くかどうか分からないが今度は俺が治そう。良し、多分これですぐ治ると思う」
「ほう。人間の薬か?魔力を感じぬが外の世界はそんなとこまで進んだのか?」
「落ち着いたら話す。結論から言うと俺はこの世界の出身じゃないんだ」
「理由がありそうだな。後ほど聞こう。我に乗れ」
俺はこのドラゴンおじさんの背中に乗せてもらい男なら誰でも一度は夢を見る空を飛ぶ事、ドラゴンに乗って空を飛んだ!フーバー見てるか!?俺は今ドラゴンに乗って空を飛んでいるぞ!!!
〜エクセルシオ総合参謀本部 ビクトリア大将執務室〜
「だから、トレノは死んでないんです!早く救出に向かわないとそれこそ死んでしまいます!」
「座標も分からず闇雲に探せと言うのか!?ビーコンも喪失している中どこを探すんだ!?」
「分かりません!ですがあいつは!あいつは・・俺のせいで・・」
「今回の上官に対しての口の利き方は目を瞑ろう。私もあいつをアレスの艦に乗せた事を後悔こそしてないが簡単に死ぬ奴ではないと思っている。だが、まさかアレスの艦が殺られるとは。ミシェルはどうなっておる?」
「ミシェル中将は戦闘があった場所の宙流を調べて不時着しそうな惑星を調べていますが・・・付近で人間が生きる惑星がなく・・・」
「お前やミシェルには悪いがそれだけでは救出に動けん。それにもう家族に年金が振り込まれているだろう。つまりそういうことだ。せめてあいつの分までソンブレロとラリカールを蹴散らしてしまえ。以上」
「ちょちょっとビクトリア大将!!」
「それ以上言うと軍隊法で引っ捕らえるぞ?」
「フーバー、ミシェルだ。こちらに来い」
「はっ」
「私の姉がすまんな」
「いやビクトリア大将の言う事はまともです。客観的に見ても私があの方の立場でも同じ事を言います」
「フーバーはいつから楽しくない事を言うようになったのだ?私は中将という立場だが動けない上官は上官ではないと思っている。この意味が分かるか?」
「まさか見つけましたか!?」
「いや見つけてはいないが技術局に知り合いが居る。しばらくは大人しくしておけ。最悪な結果になってもトレノを宇宙ゴミで終わらせはしない。必ずエクセルシオに連れて帰る」