究極魔法 サンクチュアリ
「ここが俺達の拠点だ。中で二人寝ているから少し静かにしてやってくれ」
「えっ!?こんな森の中にこんな立派な家!?」
「曹長、走り終えました!」
「俺が良いと言うまでと言ったよな?いや、やっぱもう良いよ」
「トレノ?こんな時間になにーーカエラさん!?」
「どうもこんばんわっす!起こしてしまったっすか!?」
「さっき少しだけど大きな魔力を感じて目が覚めたから・・」
「その魔力はこの馬鹿ルクスのせいだから気にしなくて大丈夫だぞ」
「この獣人族の女性に私の魔力を見てもらおうとしたのですわ。シルビアなら分かるわよね?」
同意を求めるなよ。何でシルビアなら分かるんだよ?
「まあその事はもう終わった事だからいいさ。それで結局の所俺達の追いかけてた理由はなんなんだ?」
「すいません・・・ただの私の興味本位っす・・」
"曹長、今この獣人族が話した時右手の指を交差するようにしました。68%嘘です"
"了解"
「ただの興味本位でこんな森の奥まで来るのか?本当は何か知りたい事があったんじゃないのか?」
「いえ、本当に私の興味本位っす。オギゴから急に消えたので気になり、臭いを頼りにここまで来たっす」
「ふ〜ん。それで、俺達はここを拠点で生活している。特段変わった事はしてないと思うが何か収穫はあったか?」
「トレノ!その言い方はあんまりよ!」
「シルビア?俺はこのカエラの事を知ってはいるが友達でもなければ仲間でもない。俺はシルビアを守る約束だからな。普通興味本位でこんな所まで俺達を追跡してくるのは異常だ。何か目的があるのじゃないか?と疑うのが普通だ」
「確かにそうだけど・・・」
"カエラを殺したりはしないがやっぱり俺も嘘を付いてると思う。今日は普通に過ごして明日帰そう。それですぐに例の島に行こう"
"その方が良いかと"
"折角作ってくれたのに悪いが賊やらこのカエラやらに場所がバレたから拠点を他の場所にしたいのだが任せていいか?"
"了解です。この森の南は木々が薄いせいか魔物もあまり居ないため人があまり来ません。私がドローンで観測して21日目で二人の初心者冒険者らしき人が来ただけです"
"ならそこにしよう。例の島から帰ってからで良い。すまんが頼む"
"了解致しました"
「確かに友達でもなんでもないかもしれないですがそんな言い方はあんまりっすよ!」
「まぁ、とりあえず夜明けまで後少しだがゆっくりしてくれ。俺の部屋でも使ってくれ。俺は完璧目が覚めた」
「トレノの部屋はだめ!カエラさん?私の部屋を使って!こっちよ!」
なんで俺の部屋はだめなんだ?特に汚したり散らかってもいないんだが?
「シルビア?さすが分かっていますね。今度、極大魔法の極意を教えましょう」
ルクスもどうしたんだ!?女しか分からない事でもあるのか!?
それから俺は外でのんびりこれからの事を考えカエラとシルビアはまた寝たようで明るくなってくるのを待った。
「ルクス?昼前くらいまであいつらは寝るだろう?先にミラにこれからの予定を話す。起きたら呼んできてくれるか?」
「ミラはいつもこの時間くらいには起きて部屋の掃除をしていますのでその時に伝えれば良いかと」
「そんな事ミラはしているのか!?頼んでないぞ!?確かにいつも綺麗だから俺はルクスが掃除してるかと思ったんだぞ!?」
「最初断りましたがこれは私の役目と言っていたので任せていました。辞めさせましょうか?」
「いや本人がそう言うなら任そうか。俺は労いの言葉を言う。ルクスもミラには良くしてやってくれ。それにルクスの一番弟子だろ?これから弟子が増える事はないと思うが自分が教えた奴が成長していくのを見るのは楽しいだろ?」
「ええ。彼女は私を良く肯定しますので見所がありますので光属性究極魔法のサンクチュアリを覚えてもらうまでは教えるつもりですよ」
「なんだ!?その魔法は!?俺も聞いてないぞ!?」
ルクスが言った魔法は術者が女性じゃないと発動しない魔法らしい。ルクスが精霊になったので分かったらしいがこのサンクチュアリという魔法は究極の結界魔法らしく発動するとどんな魔法すらも物理攻撃すらも弾いてしまうらしい。ただ発動してる間中、魔力が減っていくらしく諸刃の剣とも言っていたが守りたい人が居る時なんかには使えるみたいだった。何故女しか発動できないかはアシュタルト様がそういう風に決めたとしか分からないと言った。
「なんか凄い魔法だな。俺も絶対防御みたいな魔法は便利だから使ってみたかったんだが」
「サンクチュアリ!」
ボワンッ
「これがサンクチュアリです。範囲は任意で今私と曹長を覆うくらいにしてあります」
「なんか暖かくて・・風呂に入ってるような・・優しい匂いもするし安心する感じなんだが。ちなみにルクスならどのくらいの間発動できる?」
「結界の大きさにもよりますがこの大きさなら頑張って20分くらいです」
「うん!?そんな燃費悪いのか!?もう良いぞ。ありがとう。そんな燃費悪い魔法は使い所が難しいな」
「けど、ありとあらゆる悪意のある攻撃を遮断できます。奇襲とかの場合に使えそうです」
「まあそれは任すよ。どっちみち俺は使えないんだろう?」
「曹長は男性なので使えません。私が曹長を守ります」
「ありがとうな。俺もルクス・・いやユウコを守るよ」
この前言った容姿の事今言ってみようかな?けど自分のAIに言うのは恥ずかしいな。
「ユウコ・・そのなんだ・・・凄く綺麗なアバターだな?似合ってると思うぞ」
「!?!?!?曹長もう一回お願いします!!!!」
「え!?もう一回!?・・・その・・凄く可愛いアバターだと思うぞ」
「曹長!私ランニングしてきます!!!!」
「おっおい!?どうしたんだよ!?」
曹長に褒められて今まで感じなかった高揚感。嬉しい。容姿はただの器。そう思ってたのに誰かから嘘偽りがない綺麗、可愛いと言われる嬉しさ分かってきたかもしれない。曹長に言われ、なんとも言えない多幸感。じっとしていられない・・・曹長、絶対あなたを私が守ります!




